2003年5月23日(金曜日)
4億円の成果
ウェブヘルパー1.0 (www.jwas.gr.jp) というのものがリリースされております。とりあえず何も言わずにインストールしてみました。
とりあえず「アクセシビリティ点検」をクリックして、対象に "http://altba.com/" と入れ、「トリプル A」の点検レベルを指定してみました。で、あとは「点検実行」すればよいのだろうと思いますが、そんなボタンはありません。押せそうなボタンは「テーブル確認開始」というボタンだけだったので、それを押してみます。ダイアログが出て、こう言われました。
対象のファイルにはテーブル要素がありません。
そりゃそうでしょう。問題ありませんので「了解」をクリックします。すると、ウィンドウが下に伸びて、新たに入力欄が現れました。そこにはこういうメッセージが。
対象 HTML 上のテーブル要素に関して、使用目的 (レイアウト用、データ表) の確認を行ってください。
……………………えーっと。
この時点で中古屋に売りたくなりましたが、もちろん売れないので何も見なかったことにして、そのまま「点検開始」。結果、「×」がついた項目は 3 つでした。
まずはひとつ目。
3.3 レイアウトや表現方法などの制御にはスタイルシートを使う
×,3.3.1 レイアウトや体裁にスタイルシートが使用されていません。
のっけから爆笑! いや、ごめんなさい、これは本当にツボにはまってしまいました。確かに現状の http://altba.com/ の内容は全くスタイルシートを使用していません。しかしそれは、そもそもレイアウトや体裁を整える必要がないからです。
ちなみに WCAG1.0 3.3 原文は以下のおとりです。
3.3 Use style sheets to control layout and presentation. [Priority 2] For example, use the CSS 'font' property instead of the HTML FONT element to control font styles.
「レイアウト、プレゼンテーションの制御にはスタイルシートを使え」と言っているわけですが、これは「レイアウト、プレゼンテーションの制御には font要素などの物理要素を使うのではなくスタイルシートを使え」という意味です。要は物理要素を使うなと言う話であって、そもそもスタイルを全然指定する必要がない場合は、スタイルシートを使わなくたって一向に構わないのです。font要素を廃するとアクセス性が向上する可能性がありますが、style要素や link rel="stylesheet" の記述があったからと言って、それによってアクセス性が向上するなどということはありません。
それがまさか「常にスタイルシートを使え!」という意味に解釈されるとは思いませんでしたが、言われてみれば、確かにそう解釈できないこともありませんね。あまりにも意外だったので思わず笑ってしまいましたが、アクセシビリティガイドラインを書いたりする際には、このような誤解があり得ると言うことを念頭に置いておいた方が良いかもしれません。
続いてふたつ目。
13.2 そのページやサイト全体に関する情報を加えるためにメタデータを提供する
×,13.2.1 コンテンツやサイト全体についての情報がありません。
解説を見ると title要素や meta keyword、address、link要素などを使えということのようです。もちろん title要素は必須ですから指定していますが、meta keyword や link がないから不可なのでしょうか。link 要素がないと警告、というのは分からないでもありませんが、結果を見てもどういう基準で不可となったのかがよく分かりません。ウェブヘルパー点検項目13.2.1:「みんなのウェブ」 (www.jwas.gr.jp) を見ると title要素があれば良いようなことが書かれているのですが、実装は異なるようです。どう異なるのかは謎です。
※しかし凄いタイトル……。
みっつめ。
4.3 文書の基本となる自然言語を示す(「lang」属性など)
×,4.3.1 文書内で基本として使用されている言語(日本語や英語など)が指定されていません。
http://altba.com/ は XHTML1.1 で書いてあります。XHTML1.1 にはそもそも lang属性なんてものはありませんから、「lang属性など」に xml:lang属性が含まれないなんて解釈をされていると、これはもう手も足も出ません。
http://altba.com/ は、内容のない空のダミーページのようなものです。これをチェックしただけでもこの結果なのですから、内容のみっしり詰まったコンテンツをチェックしたらどうなるのか、かなり思いやられます。
ユーザインターフェイスも全体的につらい感じです。テーブルがないのにテーブルのチェックを求められることは先に書いたとおりですが、他にも全体的に使い方がわかりにくかったり、戸惑ったりする部分が非常に多いように思います。
チェック時、ステップを進むごとに説明のダイアログが出てきたりするのも鬱陶しいです。これ、初回起動時だけかと思いきや毎回毎回出てきてくれます。次の画面に進み、戻ってきたときにも出てきます。音声環境のための説明のようですが、普通にウィンドウの中に説明を書けばいちいち OK を押したりしなくても進めるのに……。
チェックの内容や方法などは、昔 Web ベースの CGI でもって提供されていたものと大差ありません。それがただそのままスタンドアローンアプリになっただけのようなのですが、これなら、まだ CGI のままのほうが良かったのではないかと思います。
何ともやりきれない感じです。
- 「4億円の成果」へのコメント (3件)
Googlebot 来た
昨日だか今日だか、どちらに属するのか曖昧な時間帯に「最近 Googlebot が来てなくて……」という話をしましたが、今日ログを見たら計ったようなタイミングでいっぱい来ていました。てへっ。
その話をしたとき、「Google は更新頻度の高いリソースは重要度が低いとみなしている」という噂があると聞きました。更新頻度が高いリソースはすぐに内容が変化してしまい、検索データベースの内容と合致しないことが多いために重要度を下げているというのですが、それは本当なのでしょうか。
仮に本当なのだとすると、謎なのはどうやって更新頻度を算出しているのかということです。Google にはあまり絨毯爆撃のイメージはありませんし、そんなに高い頻度でアクセスしているようには思えません。参考までに、このサーバのとある静的なリソースに Googlebot がアクセスした日時をチェックしてみたところ、以下のようになりました。
- 2002-10-06 02:38:42
- 2002-11-07 23:41:17
- 2002-12-05 18:36:11
- 2003-01-07 22:33:47
- 2003-02-10 18:42:07
- 2003-03-17 04:12:43
- 2003-04-01 08:40:44
- 2003-04-22 16:33:29
最初のアクセスから一日おいただけで次のアクセスがありますが、あとはほぼ一ヵ月おきに来ています。一ヵ月おきのアクセスでは、そのリソースの更新が一ヵ月に一度以上あるかどうか、ということしか分かりません。Google が更新頻度を見ているとしても、一ヵ月というスパンを上回るかどうかという判断しかできないはずです。一ヵ月に一度更新、というのは更新頻度が高いとは思えないのですが……。それとも最初の2回で何かを見いだしているのでしょうか?
もちろん、リソースによって Googlebot も来る頻度は違っているでしょうから、これを見ただけでは正確なところは分かりません。この辺り、実際のところはどうなのでしょうね。
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