規格の策定者が解説する JIS X 8341-3:2010 - 感想
2010年9月2日(木曜日)
規格の策定者が解説する JIS X 8341-3:2010 - 感想
公開: 2010年9月13日1時30分頃
規格の策定者が解説する JIS X 8341-3:2010 (www.ciaj.or.jp)、最後に私の感想を述べておきます。
JIS X 8341-3:2010の規格票自体は、あまり価値がないと思います。基準はWCAG2.0に対応しているので新規性はありませんし、単独で読んで理解できるようにも作られていません。WCAG2.0はWebコンテンツですからUnderstanding (www.w3.org)やTechniques (www.w3.org)にリンクが張られていて相互に行き来できますが、JIS規格票はそうではありません。仕事で厳密に参照したい場合には当然必要になりますが、アクセシビリティを確保したい、学びたいという場合にはWCAG2.0を見れば十分で、わざわざJIS X 8341-3:2010を参照する必要はないでしょう。
むしろ重要なのはWAIC (www.ciaj.or.jp)の活動とその文書です。規格票そのものではなく、WAICのドキュメントを注視して行く必要があるでしょう。
2004年版との差異については、以下の3点が大きなポイントになりそうです。
- 特定の技術に依存しないようになった
- 試験が可能になった
- 「準拠」とは何かが明確になった
達成基準も細かい部分では変わっていますが、それほど大きな違いはないと言ってしまって良いと思います。
最も重要なのは、「準拠」するために試験が必要ということでしょう。試験のためには実装チェックリストの作成が必要で、どの達成基準をどの方法でクリアするのかを事前に明確にしておく必要があります。つまり、「JISを満たせ」とだけ言ってあとは現場任せ (という名の放置)、ということはできないわけです。こういったことも含め、規格票以外の部分が重要になるということですね。
それから余談ですが、今回のセミナーでは、休憩時間や終了後などにいろいろな方とお話ができました。ヤフーの中野さん、インフォアクシアの植木さん、ミツエーリンクスの木達さん、といった方々とお話させていただき、貴重な意見交換ができました。ありがとうございました。
※実は木達さんと直接お会いしたのは2003年のW3C Dayのとき以来かも。
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