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W3C Day 2003 の記録 その11. WAI: 国際化対応 Web アクセシビリティ指針実現の可能性

2003年11月14日(金曜日)

W3C Day 2003 の記録 その11. WAI: 国際化対応 Web アクセシビリティ指針実現の可能性

「WAI: 国際化対応 Web アクセシビリティ指針実現の可能性」(WAI: Opportunities for International Web Accessibility Guidelines (www.w3.org))。

まずはWAI (www.w3.org) の活動の紹介など。最初は「画像はスクリーンリーダーで読み上げ出来ない」と言うと「じゃあ画像を使うなと言うのか!」などと反発されたりして「そうじゃなくて代替テキストを指定すれば良い」と説明するのに苦労したそうですが、啓蒙のためのカードを作ったら好評だったのだとか。

※ちなみにそのカード (の、日本語版) は参加者全員に配布されました。……正直、ボールペンの方が良いなぁ。

で、アクセス性指針の話。世界中で通用するアクセス性指針がひとつ定められている状態が理想……なのですが、WCAG1.0 (www.w3.org) などは各言語の事情などを考慮していなかったりしたので、i18n な話を追加しようという動き。たとえば日本語の場合、縦書きテキストを画像にしていて alt がつけられない……というような話があったりして。

※いや、普通につければ良いだけだと思うのですが、まあたとえばの話として。

そんなこんなで WCAG2.0 (www.w3.org) を進めているのですが、WCAG2.0 では WCAG1.0 の内容を大幅に整理して、14あった項目を 5つに整理したりしています。

※……と言われていたように思うのですが、実際には 2003-06-24版 (www.w3.org)でさらに絞られて 4項目になっています。2003-04-29版 (www.w3.org) までは 5項目でしたけれど。

で、Web のアクセス性を高めるためには以下のどれがもっとも効果的か?

もっとも良いのは、オーサリングツールがアクセシブルな Web ページを作れるようになっている状態なのだそうで。

……それはそうなんですが、個人的にはちょっと疑問。むしろオーサリングツールを使うと table バリバリだったり、酷いものになると frame src="about:blank" なんてのを生成してマージンを取ったりして論外なものが生成されてしまうので、プロはオーサリングツールを使っていない……というのが現実だったりして。現状ではそのような質の良いオーサリングツールが無いと思うわけですが、将来には登場するんでしょうか。

※……Amaya?

質疑はなかなか興味深い感じでした。「オーサリングツールというけれども、むしろ教育、啓蒙活動が大事だと思う。しかし日本語のドキュメントが少ない」。……そうですね。前回も言われていたし、いつも言われていると思いますが、W3C のオフィシャルな言語は英語で、英語が読めない人にはハードルが高いという問題は常にありますね。

もうひとつ、違う意味で興味深い質疑が「アクセス性とセキュリティとの関係はどうなのか」というもの。Hotmail の例を出されていましたが、どうも会場の半分くらいには質問の主旨が理解されず、「?」マークが点灯していたような雰囲気でした。質問者は「スパム封じか、視覚障害者の権利擁護か-揺れる画像認証テスト (japan.cnet.com)」という話のことを言っていたのですが、たぶん伝わっていなかったと思います。

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