究極ののけぞり
2003年8月2日(土曜日)
究極ののけぞり
今週も土曜日がやって参りました。問題の HTML 講座も「夏休みホームページ作り(下) (www.be.asahi.com)」で最終回を迎えました。
いつものように例の HTML を引用してみます。
<title>トップページ</title>
<img src="title_b.gif"WIDTH=200 HEIGHT=180 ALT=beのロゴ><br><br>
<color="Blue">
<a href="http://homepage3.nifty.com/****/moji.html">
シリーズ3回のスケジュール</a>
<br>
<a href="http://homepage3.nifty.com/****/nikki.html">
画像張り付け例</a>
<br>
<s>beのホームページは <a href="http://www.be.asahi.com/">
こちらです</a></s>
<br>
beへのお便りは <a href="mailto:be@asahi.com">こちらへ</a>
</color></size>
これは ひどい。
<color="Blue">
というのはいったい何なのでしょうか。一瞬、<font color="Blue"> の typo なのかと思いましたが、下の方を見ると、なんと </color> という終了タグがあります。ということは、どうも color 要素という新要素のようなのですが、そう考えても ="Blue" という文字列は宙に浮いてしまいます。属性値の略記なのだとしても、そんな略し方はできません。
※属性の略記についてはSGML の短縮タグ機構参照。属性名だけを略すような書き方はできません。
……というか、そもそも私が知る限り HTML に color 要素なんて存在しないのですが。少なくとも現行の HTML 仕様にはありませんし、幻となった HTML1.0 や HTML+、HTML3.0 などで提案されたこともないはずです。まったく意味が分かりません。さらにその後ろには </size> という文字列が。size要素の終了タグのようですが、開始タグないし……。開始タグ省略可能な size要素を使用しているとしか考えられませんが、そもそも私の知る限り (以下略)。これまた全く意味が分かりません。
私も、今まで数々の HTML 解説を研究してきたつもりです。中には lh という謎の要素を解説しているものがあって悩んだりしましたが、lh は幻の HTML3.0 で提案されていた要素で、一応の出典はありました。謎の noframe要素を解説している本もたくさんありましたが、これは noframes の s が抜けてしまった typo として理解できます。しかし、今回出てきた color や size については全く理解不可能で、ここまで意味不明な要素に出会ったのは初めてです。5つ星、いや、史上初の 6つ星を差し上げたい気分です。
※星についてはのけぞる本! (www.ne.jp)参照。私の独断の評価で、5つ星が最高です。
※話はそれますが、星の数でランクを表したりすると読み上げ環境で利用しづらかったりする可能性があります。このページはあまりアクセシブルではありませんので真似しないように。ちなみにホームページ・リーダー 3.02 のデフォルトで読み上げると、「★★」は「二個の黒星」と読んでくれますが、「★」と星一個だけだと何も言ってくれません。
ちなみに本文を読むと、
とは言うものの、ご紹介できたのはHTMLのほんの一部です。
と言っていますが、ほんの一部って……。HTML の全部を紹介しても出てこないものさえ既に紹介されてしまっているのですけれど。
ちなみに本文の続きはこうです。
実際のHTMLは、多くの約束事や文法のある規格です。タグも、もっとたくさんあります。すべての約束事を守ったわけではないので、閲覧ソフトによっては、思った通りに表示されないかもしれません。でも、まず始めてみませんか。英会話上達には、文法の勉強より話してみることが大事というのと同じ理屈です。
言い訳かよ。
英会話ならば話し相手からのフィードバックによって上達するのでしょうが、HTML はどうやって上達するのでしょう。ひょっとして来訪者に叩かれながら上手くなれと言いたいのでしょうか? HTML 解説のサイトならともかく、そうでないサイトでいちいち文法にケチをつけるなんて奇特な人がそうそういるとも思えませんが……。
※他人のサイトの文法ミスを自分のところの Bugzilla に登録したりするような人が存在していますが、それは例外中の例外でしょうよ。
……話がそれましたが、実は今回の例のソースにはもっと大きな問題点があります。それがこの部分。
<img src="title_b.gif"WIDTH=200 HEIGHT=180 ALT=beのロゴ><br><br>
alt属性の値がまたしても引用符で括られていませんが、問題はそこでもなくて、この alt属性の値です。2回目の解説でも alt属性の値がことごとく引用符で括られていなかったのですが、指定された alt属性の値はまあまあ適切と言えるものでした。しかし、今回のこの alt属性の値は酷すぎです。
ここをいつも読んでいるような方には繰り返しになりますけれども、alt属性の値というのは画像の説明ではなくて、画像非表示のときに表示される代替のテキストです。このような alt 属性を指定していると、画像非表示の時には「beのロゴ」というテキストが表示されることになってしまいます。ここは「be」とか「be on saturday」とするのが適切でしょう。
困るのは、この例をみた「初心者」が、「alt属性の値は画像の説明だ」と勘違いしてしまって「○○のロゴ」だとか「スペーサー」だとかいう alt をつけてしまうのではないかと言うことです。このような alt がついていても、画像が表示される環境では特に悪影響がありませんから、これらがまずいということに一生気づかない可能性があります。そしてそれらは、画像が利用できない環境の人に不利益を与え続けるわけです。
この解説を見た「初心者」が無意識のうちにバリアだらけの Web サイトを作ってしまうのだとしたら、それは大変悲しいことだと思います。
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