2011年3月13日(日曜日)
あやしいお話
公開: 2011年3月18日13時30分頃
Twitterを見ているとさまざまな情報が飛び交っていますが、中には相当怪しい話も相当数混ざっているようです。RTする前に、以下のようなことを心がけると良いかもしれません。
- 非公式RTは無視する
- 公式RTされている場合は、元ツイートをしたユーザーのタイムラインを確認する。自身に関するツイートや他ユーザーとのやりとりが全くなく、感動エピソードだけが並んでいたり、特定の思想傾向に沿ったツイートだけが並んでいたりする場合、それはおそらくデマ発信専用アカウントだと思われます。
- 客観情報を含まない情緒的なツイートはRTしない。特に、感動エピソードに注意。
- できるだけ、真偽を自分で調べてから、ソースのURLをつけてツイートするようにする。
- 同じ話を別の人がツイートしていても信用しない。
なお、デマは悪意によって広まるのではなく、善意や使命感によって広まることに注意しましょう。「東京電力に勤めている友人」とか「自衛隊員の友人」の感動エピソードが結構流れていましたが、調べてみると辻褄が合わない話も多いです。友人からの伝聞という形で語られている感動エピソードには、かなりの割合でデマが混ざっていると思った方が良いでしょう。
※本人がツイートしていて、かつその人のタイムラインが変でない場合は、ある程度信用して良いと思います。
流量が多い話を信用しないと言うのもポイントだと思います。人は、複数の人から同じ話を聞くと信じてしまう傾向があります。
人は、複数の人間から話を聞けば聞くほど、その話を信用しやすくなる。誰かひとりがデタラメを言っていれば聞く耳を持たなくても、その数が増加していけば「もしかすると」と思ってしまうのである。幽霊や宇宙船、さらには超能力だの当たる占い、その手のくだらないオカルト話を信じてしまう人がいるのも同じことだ。
以上、「オレオレ詐欺はもう古い」こそ「もう古い」。再度猛威を振るう「新型オレオレ詐欺」。悪党どもの手口を「全部暴露」して予防法を伝授! より
これがTwitterのRTの仕組みと実に良くマッチします。同じソースからの情報が違う経路で複数回RTされてくることが多いからです。複数の人が同じ事をツイートしたりRTしたりしていても、頭ごなしに信じない方が良いでしょう。
今日気になった、複数の人がツイートしているけれど真偽の分からないものを、いくつかメモしておきます。
辻本清美 幻のビラ
阪神大震災の際、辻本清美がコピー機を携えて現地入りし、「自衛隊から救援物資をもらってはならない」というビラを大量にまいた……という話が複数の経路からRTされたりツイートされたりしてきました。
普通に考えてそんなことはしないと思いますし、「コピー機を携えて現地入り」という妙なディテールも、よく考えると現実離れしています。コピー機はどこに置いたのでしょうか。電源や紙はどうやって調達したのでしょうか。印刷したビラを持って現地入りした方が効率が良くはないでしょうか。
実際にビラが大量にまかれたのなら、そのビラが映った写真や画像をだれかが公開している可能性が高いと思います。しかし、少なくとも私が探した範囲では、そのビラの現物の写真を発見することができませんでした。
以上のことから、「阪神大震災の際、辻本清美がビラをまいた」という話は、真偽のかなり怪しい話であり、デマの可能性が高いと判断しています。もし画像を確認された方、あるいはマスコミ報道等のある程度信頼できるソースをご存じの方がいらっしゃいましたら、ご連絡いただきたいと思います。
原発の老朽化は反対派のせいなのか
原発反対派のせいで新規の原発が作れず、老朽化した原発を使い続ける羽目になったのが事故の原因である、という旨のツイートが複数流れていました。
普通に考えると、確かに原発反対派は新規の原発に反対するでしょうが、だからといって老朽化した原発を使い続けることを許したりはしないでしょう。老朽化にも反対するはずです。とはいえ、「老朽化の問題に気付いていなかった」という可能性もあるでしょうから、実際にそういうことがあった可能性もあります。
ということで軽く調べてみることにしました。ちょうど日本共産党福島県議団の提言が話題になっていたので、その提言一覧 (www.jcp-fukushima-pref.jp)を確認してみると、老朽化した原発を運転し続けないようにという申し入れがたくさん見つかりました。
- 第二原発3号機の運転再開は認めず、議会で十分な議論をすべきです (www.jcp-fukushima-pref.jp)
- 第一原発4号機の運転再開を認めないこと (www.jcp-fukushima-pref.jp)
- 第二原発3号機の運転再開は認めず、議会で十分な議論をすべきです (www.jcp-fukushima-pref.jp)
- 東京電力(株)によるデータ改ざん問題についての申し入れ (www.jcp-fukushima-pref.jp)
- 福島原発10基の耐震安全性の総点検等を求める申し入れ (www.jcp-fukushima-pref.jp)
- 中越沖地震から教訓をくみ出した対応を求める申し入れ (www.jcp-fukushima-pref.jp)
- エネ協における原発「維持基準」の議論の在り方について (www.jcp-fukushima-pref.jp)
- 原発の維持基準導入についての考え方について (www.jcp-fukushima-pref.jp)
- 「原子力発電設備に係る健全性評価制度(維持基準)についての県議会の見解」について (www.jcp-fukushima-pref.jp)
2009年以降は老朽化や耐震基準の話はなくなり、プルサーマルの議論に比重が移っているようですが、数年前までは「老朽化した原発を使い続けないように」ということを強く訴え続けていたように見えます。
新規建設への反対は見あたりませんでしたが、これは単に古くて残っていないだけかもしれません。いずれにしても、老朽化した原子炉を運転し続けることについては明確に反対していたと言って良いでしょう。
以上のことから、「老朽化した原子炉を運転し続けることになったのは反対派のせい」という話はデマだと判断しています。
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