2010年2月23日(火曜日)
管理画面を別ドメインに分ける
公開: 2010年3月6日13時0分頃
「XSSとセキュリティリスクと正しい脆弱性報告のあり方 (d.hatena.ne.jp)」という話が。
ブログサービスなど自由にHTMLをかけるようなサービスでは、害が及ばないように表示を丸ごと別のドメインに分けていたり、あるいは別ドメインのIFRAME内で実行したりしているのが普通です。
これは意外に理解されていない場合が多いような気がしています。「JVN#81490697 Movable Type におけるクロスサイトスクリプティングの脆弱性 (jvn.jp)」という問題がありましたが、製品開発者からは「管理画面にアクセスできる人はそもそも任意のスクリプトを書けるのだから、そういうもの」というような反論がありました。
これは、ある意味正しいと言えます。以下の条件のいずれかを満たす場合は問題にならないはずです。
- 管理画面と同じドメインにコンテンツがパプリッシュされている
- ユーザーが一人しかいない、もしくは管理者ユーザーしかいない (権限を制限していない)
個人が一人で使っているような場合は上記に該当するので、問題になりません。
しかし、Movable Typeは、PowerCMSとセットにしてCMSのように使うこともできます。社外のユーザーに直接コンテンツを編集してもらうため、権限を絞ったユーザーを作成することもあります。この場合、管理画面のドメインで任意のスクリプトが実行できてはまずいことになります。ですから、管理画面を別ドメインにしておくことが必須になるのですね。
というわけで、ある事象が個人ユーザーと企業ユーザーとで異なる評価になる場合は良くあります。Movable Typeは企業で使われていることもある、という認識をきちんと持って欲しいところです。
……あと後半ですが、こういう主張ですかね。
- 運営者に知り合いがいる場合、直接伝えると対応が早い
- 運営者に知り合いがいる場合、「ゼロデイを公開する」と言って強迫すると対応が早い
賛同できるかどうかはともかく、間違ってはいないと思います。ただし、運営者が知り合いでない場合については述べられていないので、その点は注意しましょう。
- 「管理画面を別ドメインに分ける」にコメントを書く
デバイスに依存するFlashコンテンツは新デバイスに対応できない
「iPadにFlashは来ない? タッチスクリーンとFlashの根本的問題 (slashdot.jp)」。アクセシビリティやユーザビリティを専門としない人には、ちょっと分かりにくそうな話ですね。
既存のFlashサイトをそのまま設計通りに動作させるのは難しく、また表示することだけを実現してもユーザーにとっては満足度の高い実装とはならないとのことだ。
要するに、iPadでは既存のFlashコンテンツがロクに動かない可能性がある、という話です。……と、こう言われても、ぴんと来ない人が多いかもしれません。Flash Playerやオーサリング環境をどうにかすれば解決するのではないか、と疑問に思われる方もいそうですね。
たとえば、こんな感じのFlashコンテンツを見たことがないでしょうか。
- Flashコンテンツの中に、商品写真が横一列に並んでいる。商品をクリックするとリンク先に飛ぶ。
- 商品写真のリストはコンテンツの幅に収まりきらず、スクロールする。
- スクロールバーやスクロールのためのボタンはなく、マウスポインタを右の方に動かすと右のほうにスクロール、左の方に動かすと左にスクロールする。
仮にこれをiPadで再生できたとして……どうやってスクロールさせれば良いのでしょうね。
このケースは、キーボードでもスクロール操作できません。WCAG 2.0 Guideline 2.1 (www.w3.org)では、全ての機能がキーボードで操作できることを求めています。Webサイトのアクセシビリティ調査をしていると、残念なことに、キーボード操作できないFlashコンテンツがかなり多いということに気付かされます。
これはFlash自体の問題ではなく、Flashコンテンツを作る側のデザインの問題です。たとえば上記のケースでは、スクロールするためのボタンをつけるだけでキーボード操作可能になります。そうすれば自然と、iPadやそのほかの新しいデバイスでも操作可能になるでしょう。
世界中のFlashデザイナーがもう少しだけアクセシビリティを意識してくれれば、世界は違うものになるかもしれませんね。
※10年ほど前に書かれた「Flash: 99%有害 (www.usability.gr.jp)」という文章が思い起こされます。あるFlash作者は憤慨して、ヤコブを車で轢き殺すFlashゲームを作ったり……。
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