デバイスに依存するFlashコンテンツは新デバイスに対応できない
2010年2月23日(火曜日)
デバイスに依存するFlashコンテンツは新デバイスに対応できない
「iPadにFlashは来ない? タッチスクリーンとFlashの根本的問題 (slashdot.jp)」。アクセシビリティやユーザビリティを専門としない人には、ちょっと分かりにくそうな話ですね。
既存のFlashサイトをそのまま設計通りに動作させるのは難しく、また表示することだけを実現してもユーザーにとっては満足度の高い実装とはならないとのことだ。
要するに、iPadでは既存のFlashコンテンツがロクに動かない可能性がある、という話です。……と、こう言われても、ぴんと来ない人が多いかもしれません。Flash Playerやオーサリング環境をどうにかすれば解決するのではないか、と疑問に思われる方もいそうですね。
たとえば、こんな感じのFlashコンテンツを見たことがないでしょうか。
- Flashコンテンツの中に、商品写真が横一列に並んでいる。商品をクリックするとリンク先に飛ぶ。
- 商品写真のリストはコンテンツの幅に収まりきらず、スクロールする。
- スクロールバーやスクロールのためのボタンはなく、マウスポインタを右の方に動かすと右のほうにスクロール、左の方に動かすと左にスクロールする。
仮にこれをiPadで再生できたとして……どうやってスクロールさせれば良いのでしょうね。
このケースは、キーボードでもスクロール操作できません。WCAG 2.0 Guideline 2.1 (www.w3.org)では、全ての機能がキーボードで操作できることを求めています。Webサイトのアクセシビリティ調査をしていると、残念なことに、キーボード操作できないFlashコンテンツがかなり多いということに気付かされます。
これはFlash自体の問題ではなく、Flashコンテンツを作る側のデザインの問題です。たとえば上記のケースでは、スクロールするためのボタンをつけるだけでキーボード操作可能になります。そうすれば自然と、iPadやそのほかの新しいデバイスでも操作可能になるでしょう。
世界中のFlashデザイナーがもう少しだけアクセシビリティを意識してくれれば、世界は違うものになるかもしれませんね。
※10年ほど前に書かれた「Flash: 99%有害 (www.usability.gr.jp)」という文章が思い起こされます。あるFlash作者は憤慨して、ヤコブを車で轢き殺すFlashゲームを作ったり……。
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