水無月ばけらのえび日記

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2011年4月

2011年4月28日(木曜日)

JIS X 8341-3:2010の達成基準は難しい

公開: 2011年4月29日19時45分頃

こんな記事がありますね……「中央省庁Webサイトのアクセシビリティ対応はまだ不十分 日経BPコンサルティングが調査結果を発表 (pc.nikkeibp.co.jp)」。

この調査では、同社が独自に設けた20の項目について調べた(調査概要)。項目は大きく3つに分類される。知覚に関する項目(説明が必要な画像に代替テキストを付与しているか、など)、操作に関する項目(キーボードのみで適切にページ移動ができるか、など)、理解に関する項目(Webページで使われている言語が明示されているか、など)である。いずれの項目も、2010年8月に公示されたWebアクセシビリティに関する規格「JIS X 8341-3:2010」を参考にして設定されている。

JIS X 8341-3:2010という名前はちらっと出ているものの、これはあくまで独自調査です。JIS X 8341-3:2010に書かれている検査のやり方や報告の仕方とは全く違うものになっています。

点数で評価されているのも微妙で、この採点方法では「等級Aの項目は全て満たしているがAA項目を満たしていない」というケースと「等級Aに満たしていない項目があるがAA項目は全て満たしている」というケースが同じ評価になったり、下手すると後者の方が高評価になってしまう可能性があります (実際には、等級Aを満たしていないケースの方がアクセシビリティ上の問題が大きい)。

また、調査概要 (pc.nikkeibp.co.jp)を見ると、調査項目に対応するJISの達成基準が掲げられています。しかしよく見ると、JISの達成基準とはかなり違う内容になっているものも見受けられます。以下、気になったところをいくつかコメントしておきます。

7.1.4.4 テキストのサイズ変更に関する達成基準

まず明らかに違うのが、「200%に表示を拡大したとき、文字情報をきちんと読み取れるか」という基準です。それに対応するはずのJIS X 8341-3:2010の7.1.4.4は、実際には以下のような内容になっています。

7.1.4.4 テキストのサイズ変更に関する達成基準

コンテンツ又は機能を損なうことなく,テキストを支援技術なしで200%までサイズ変更できなければならない。ただし,キャプション及び画像化された文字は除く。

以上、JIS X 8341-3:2010 7.1.4.4 より

「200%までサイズ変更できる」ことが要件で、「拡大したものが読めるかどうか」という話とは違います。最近のブラウザはほとんどが拡大機能を備えていますので、HTMLで実装されたページの多くは、何も意識しなくてもこの達成基準を満たすでしょう。ただし、拡大時に崩れたり、文字が重なったりして読めなくなることがないように注意する必要があります。

※JIS側では、拡大後に読めるかどうかまでは問うていません。あるサイズの文字が読めるかどうかは人によって違うので、「読めるかどうか」を判断しようとすると、人によって判断基準が異なってきてしまいます。どんな視力の人でも読めるように、自由に拡大ができるということが重要でしょう。

7.1.4.5 画像化された文字に関する達成基準

次に気になったのは「画像として用意されている文字情報をテキストでも取得できるか」という基準です。対応するはずのJIS X 8341-3:2010 7.1.4.5は以下のような内容です。

7.1.4.5 画像化された文字に関する達成基準

使用しているウェブコンテンツ技術で意図した視覚的な表現が可能である場合は,画像化された文字ではなくテキストを用いて情報を伝えなければならない。ただし,次に挙げる場合を除く。

a) カスタマイズ可能 画像化された文字が利用者の要求に応じて視覚的にカスタマイズできる。

b) 必要不可欠 文字の特定の表現が,伝えようとする情報にとって必要不可欠である。

以上、JIS X 8341-3:2010 7.1.4.5 より

画像にはもちろん代替テキストをつけるのですが、画面上で画像が見える人でも、テキストを拡大したり色を反転したり行間を広げたりしたいことがあります。むやみにテキストを画像にしてしまうと、そういった処理がやりにくくなってしまいます。そのため、必要もないのにテキストを画像することは避けた方が良い、というのがこの基準です。

ただし、7.1.4.5では例外を認めています。まず、この基準自体が「意図した視覚的な表現が可能である場合は」という状況に限定されたものになっています。つまり、「テキストでは意図した視覚表現ができないので画像にした」というケースはOKです。また、利用者が画像化文字をカスタマイズできる場合や、「文字の特定の表現が、伝えようとする情報にとって必要不可欠」な場合もOKとされています。

※たとえば、漢字の字形を正確に伝える必要があるような場合は「特定の表現が不可欠」なケースに該当するでしょう。人名に使われる特殊な漢字を表現する必要があるようなケースはこれにあたります。

なお、この達成基準に似たものに、7.1.4.9があります。

7.1.4.9 画像化された文字に関する例外のない達成基準

画像化された文字は,装飾だけを目的に用いられているものであるか,又は特定の形でテキストを表現することが伝えたい情報にとって必要不可欠であるものか,のいずれかでなければならない。

以上、JIS X 8341-3:2010 7.1.4.9 より

こちらは等級AAAの達成基準なので、7.1.4.5(等級AA)にあった例外を認めていません (ただし、注意書きでロゴタイプは除くとされています)。

簡単にまとめると、こんな感じです。

  • 7.1.4.9 …… 等級AAA。テキストを画像にしては駄目。例外は認めない。(ただしロゴタイプは除く)
  • 7.1.4.5 …… 等級AA。テキストを理由もなく画像にしては駄目。ただし、意図した視覚表現のために必要な場合はOK。利用者がカスタマイズできる場合もOK。文字の特定の表現が必要な場合もOK。

7.1.4.5にはかなりの例外が認められていることが分かるでしょう。この調査で使用されている基準は、むしろ7.1.4.9のほうに従っているように思えます。

7.2.4.4 文脈におけるリンクの目的に関する達成基準

それから、少し気になるのが「リンク先の内容を適切に予想できる形でリンクが設定されているか」という基準です。対応する7.2.4.4は誤解されやすい達成基準です。

7.2.4.4 文脈におけるリンクの目的に関する達成基準

それぞれのリンクの目的が,リンクのテキストだけから,又はプログラムが解釈可能なリンクの文脈をリンクのテキストと合わせたものから解釈できなければならない。ただし,リンクの目的が一般的にみて利用者にとってあいまい(曖昧)な場合は除く。

以上、JIS X 8341-3:2010 7.2.4.4 より

これを読んで、「こちら」リンクを禁止する基準だな、と思われた方はいませんか? あわてずに7.2.4.9を読む必要があります。

7.2.4.9 リンクの目的に関する達成基準

それぞれのリンクの目的がリンクのテキストだけから特定できるメカニズムが利用可能でなければならない。ただし,リンクの目的が一般的にみて利用者にとってあいまい(曖昧)な場合は除く。

以上、JIS X 8341-3:2010 7.2.4.9 より

そう、「こちら」リンク禁止は7.2.4.9(等級AAA)なのです。7.2.4.4(等級AA)は前後の文脈からリンクの目的が分かるケースでも良い事になっています。

この調査で7.2.4.4をどのように判定しているのかはっきりとは分かりませんが、7.2.4.4の基準なら、ほとんどのサイトでは問題ないはずです。

JIS X 8341-3:2010の達成基準は難しいと思います。守ることが難しいのではなく、基準の内容を理解するのが難しいという意味です。誤解されやすい達成基準がたくさんありますし、規格票本体には解説もほとんどついていません。理解したいと思ったら、最低でもUnderstanding WCAG 2.0 (www.w3.org)や、その日本語訳であるWCAG 2.0 解説書 (waic.jp)を読んだほうが良いと思います。

「新しいJISは厳しくなっている」という声も良く聞きます。しかし実際は、動画や音声を使うケースでもない限り、そんなに厳しくはなっていないはずです。先に述べたような項目を誤解して、「厳しくなった」と思われている方もいるのではないでしょうか。そうだとすれば、これは普及の壁にもなっていると思います。

※わかりやすい定番解説書のようなものがあると良いのかもしれませんが……。

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2011年4月27日(水曜日)

PlayStation Network「障害」は情報漏洩事件だった

公開: 2011年4月29日14時5分頃

少し前から、トルネ (www.amazon.co.jp)を使おうとするときにPlayStation Network(PSN)へのログインがエラーになって残念な思いをしていました。トルネには「トルミル情報」という機能があって、トルネユーザーがよく録画している番組が分かったりするのですが、トルミル情報を利用するためにはPSNへのログインが必要なのです。ところが、数日前からPSNへのログインに失敗するようになり、トルミル情報が全く利用できなくなっていました。

どうも障害らしく、スラッシュドットには「PlayStation Networkが障害で長時間利用不可能に (slashdot.jp)」というトピックも出ており、まあ復旧を待てばいいかと思っていたら、「PlayStation®Network/Qriocity™をご利用の皆様へのお詫びとお願い (cdn.jp.playstation.com)」というアナウンスが。

漏洩した(不正アクセス者が入手した)とみられるアカウント情報:

  • お客様がPlayStation®Network/Qriocity™に登録した、氏名、住所、Eメールアドレス、生年月日、PlayStation®Network/Qriocity™パスワード、PlayStation®NetworkオンラインID

また、以下の情報につきましても不正アクセス者が入手した可能性があります。

  • 購入履歴、請求先住所、パスワード再設定用の質問への回答等のプロフィールデータ
  • サブアカウントに関する上記情報(お客様がサブアカウントを作成されている場合)

(~中略~)

さらに、お客様に成りすました不正ログインや不正利用を防ぐために、アカウントに登録されている情報の詳細やクレジットカードの引き落とし履歴等を定期的に確認されることを推奨いたします。(クレジットカードに関連する情報についてご不明な点等につきましては、ご利用のクレジットカード会社にお問い合わせください)

以上、PlayStation®Network/Qriocity™をご利用の皆様へのお詫びとお願い より

なんということでしょう。PS3 (www.amazon.co.jp)やPSPのユーザーがゲームをダウンロード購入する場合はPSNに登録することが必須なわけで、影響範囲はきわめて大きいでしょうね。

7700万は過去最大級と思われます。

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2011年4月25日(月曜日)

ルール

公開: 2011年4月29日10時55分頃

読み終わったので。

多くの日本兵が餓死したというフィリピン、ルソン島の戦いの話。鳴神中尉を中心に過酷な行軍の様子が描かれ、戦争の過酷さを描くドキュメンタリー風作品……と思わせつつ、最後まで読んだら実はミステリだったという展開で面白いです。

文章はちょっと読みにくくて情景描写も少し分かりにくいように感じますが、作品の雰囲気とはマッチしていて、飢餓とマラリアの熱で正常な判断ができなくなってくる感じが良く出ています。

※ちなみに、鳴神のドイツ語での「無様な頼み」は Könnten Sie bitte langsamer sprechen? で、これは「もっとゆっくり喋ってくれませんか?」という程度の意味。特に謎に関係するわけでもないので、読者に意味が分かるようにしても良かったように思いますが。

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2011年4月23日(土曜日)

風力の可能性

公開: 2011年4月24日23時15分頃

こんな記事が……「風力発電で原発40基分の発電可能 環境省試算 (www.asahi.com)」。

記事だけ見てもどのくらい現実的な数字なのかが良く分からないのですが、該当の試算は「平成22年度 再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書 (www.env.go.jp)」というもののようです。本体の報告書は出ていませんが、概要だけ公表されていますね。

概要を見ると、風力のシナリオはこんな感じの数値になっています。

いきなり意味が分かりませんが、「導入ポテンシャル」の定義は以下のようになっています。

・賦存量…設置可能面積、平均風速、河川流量等から理論的に算出することができるエネルギー資源量。現在の技術水準では利用することが困難なものを除き、種々の制約要因(土地の傾斜、法規制、土地利用、居住地からの距離等)を考慮しないもの。

・導入ポテンシャル…エネルギーの採取・利用に関する種々の制約要因による設置の可否を考慮したエネルギー資源量。賦存量の内数。

つまり、居住地に近すぎたり険しい山だったりして設置できないようなケースを除外した、実際に作ることが可能な値が「導入ポテンシャル」ですね。ただし、これはあくまでポテンシャルであって、実際に採算が合うかどうかは計算していません。つまり採算を完全に度外視して限界まで作りまくった場合の数字で、これが19,000万kWとなります。

採算が取れるかどうかについては、FIT (再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度) を実施することを前提にした上で、技術革新と国の補助金がある場合と無い場合を仮定して計算し、プロジェクト内部収益率(PIRR) が8%以上となる場合に導入可能と判断しているようです。その結果が先に挙げた値です。

ということは、朝日新聞の記事に出ている2,400~14,000万kWというのは、補助金なし、技術革新もなしを想定した場合でも採算が取れるものだけを計算した数字ということです。そんなに夢物語の数字でもないようですね。

風力には騒音やバードストライクなどの課題がありますが、スパイラルマグナス (www.mecaro.jp)のような新しいタイプのものも開発されているようなので、けっこう期待できるのかもしれません。

ただし、こんな注釈もあります。

風力発電については極めて大きなポテンシャル等が推計された。但し、次頁図のとおり地域偏在性が極めて強く、例えば北海道や東北地方では従来の電力供給能力(北海道742万kW、東北1,655万kW)を上回る導入ポテンシャルが推計された。中短期の導入可能量は地域間連携設備能力の限界などを含めた検討が必要であるが、今回の試算では行っていない。

風力のポテンシャルは北海道や東北に偏っていて、日本全体の電力問題を解決できるかどうかはまた別の話ということですね。また、風力以外のエネルギーに関してはあまり思わしくない数字が出ているようです。

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2011年4月20日(水曜日)

届出状況2011年Q1

公開: 2011年4月24日14時25分頃

2011年Q1の届出状況が出ましたね……「ソフトウェア等の脆弱性関連情報に関する届出状況[2011年第1四半期(1月~3月)] (www.ipa.go.jp)」。

目新しい話はあまりないようですが、携帯電話向けウェブサイトの話が挙げられています。

(3)携帯電話向けウェブサイトにおける認証方式の脆弱性の見直しを(別紙1 4.参照)

携帯電話向けウェブサイト(以降、携帯サイト)における、いわゆる「かんたんログイン」に関する脆弱性が届出られています。2011年第1四半期末の時点で累計24件の届出があり、まだ修正されていない取扱中の届出も存在しています。「かんたんログイン」は携帯電話の識別子だけで利用者を認証する方式の一つですが、安全な実装が簡単ではなく、2010年10月にはこの脆弱性が原因の個人情報漏洩事故が発生しました。

以上、ソフトウェア等の脆弱性関連情報に関する届出状況 [2011年第1四半期(1月~3月)]~ウェブサイト運営者は携帯電話向けウェブサイトにおける認証方式の脆弱性の見直しを~ より

2010年10月の漏洩事故というのはヤマト運輸の件ですね。他にも似たような話がたくさんあるということのようで。

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2011年4月19日(火曜日)

チョコレートゲーム

公開: 2011年4月24日13時45分頃

読み終わったので。

中身は悪くなかったと思うのですが、巻末の解説がなんとも。

ファミコンやパソコンなど機械と対話することにしか慰めを得られない孤独な中学生の生態は、この『チョコレートゲーム』によって初めて描き出されたといってよいのではないかと私は思う。

どこにそんなのものが描かれているのか、私には分かりませんでした。私が読んだ範囲では、本作には中学生がファミコンやパソコンに没頭するシーンは全く出てきません。部屋にパソコンが置かれているシーンはありますが、ただ置かれているだけで没頭していたような描写はありませんし、そのパソコンが購入された背景も明らかになります。

そもそも、本作のポイントである「チョコレートゲーム」は、友達との交流がなければ成立し得ないゲームです。主人公の息子である省吾は、友との交流の中で翻弄されていたのです。しかし主人公の近内には、それが分からなかった。ラスト付近で近内は逸子に頭を下げて感謝しますが、それは、省吾が孤独ではなかったと分かったからでしょう。自分がしなければならなかったはずのことを、逸子がしてくれていた。そこにあるのは孤独ではなく、単なる断絶に過ぎなかった。だから頭を下げたのでしょう。

読み方は人それぞれだと思いますが、この解説は無理がありすぎると思いました。

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2011年4月17日(日曜日)

デザインあ

公開: 2011年4月24日0時45分頃

NHKの新番組「デザインあ (www.nhk.or.jp)」。あのyugopこと中村勇吾が、ということで話題になったりしていたようですが、実は勇吾さんの他にも、阿部さんやイムさんといったbA (www.b-architects.com)のOBが関わっていて、弊社とはそれなりに関わりの深い番組だったりします。

というわけで録画しておいた1回目、2回目の放送を視聴したのですが、これはなかなか面白いですね。基本的には子ども向けに作られた番組なのでしょうが、大人が観ても興味深い発見があります。

個人的にいちばん印象に残ったのは「解散」。特に、2回目の柑橘類 (はっさく?) が解散するところは物凄いと思いました。あれ、どうやって撮影したのでしょうか。凄まじく根気の要る作業が行われたような気がします。

関連する話題: テレビ / 思ったこと

2011年4月16日(土曜日)

都内「危険エリア」の線量はどの程度なのか?

公開: 2011年4月17日19時25分頃

こんな記事が……「核の米権威が警告!福島より高濃度…都内にある“危険エリア” (www.zakzak.co.jp)」。見出しは凄いですね。

各地で放射性物質は検出されたが、いずれも許容範囲。ダラス教授は「東京は基本的に安全だ」というが、気になる発言も。「西新宿・都庁前(新宿区)と豊洲(江東区)で、やや高い数値が出た。特に、豊洲では(第1原発から60数キロの位置にある)福島県郡山市の数値よりも高かった」というのだ

見出しで「危険エリア」とぶち上げ、「福島県郡山市の数値よりも高かった」と煽り、そして最後まで読んでも具体的な数字が全く出てこないという産経zakzakクオリティ。政府はネットの流言飛語に警戒するより先に、この手のメディアに対して「報道時にはできるだけ具体的な数字を出せ」と警告する方が良いのではないかとも思いますが。

文科省の「福島第1及び第2原子力発電所周辺のモニタリングカーを用いた固定測定点における空間線量率の測定結果 (www.mext.go.jp)」をざっと眺めた感じでは、福島県郡山市は0.8μSv/h~1.0μSv/h程度の線量のようですね。1年間浴び続けると7~8mSv程度になるので、少し高めではあると思います。

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2011年4月15日(金曜日)

軽水炉のボイド効果とは何か

公開: 2011年4月17日19時0分頃

なかなか凄い話ですね……「武田邦彦氏の過去の発言を検証してみる (news.livedoor.com)」。

「日本の軽水炉はチェルノブイリの黒鉛減速炉と異なり、負のフィードバック効果があるので核反応の暴走は起きにくい」ということ自体は良く言われていましたし、それ自体は間違っていないと思います (福島第一原発でも核分裂連鎖反応が暴走したわけではありません)。

私が問題だと思うのは、自称専門家であるはずの武田氏が、そのメカニズムを理解していない (少なくとも2007年当時は理解していなかった) らしいということで。

特に日本の原子力発電所は「水」を使って炉を冷やしているが、水は「核反応が進めば進むほど反応を止める方向に行く(負のボイド効果)」という特徴を持っているので、水素爆発などは別にして原子炉自体は核爆発させようとしても爆発しない。

以上、原子力を考える (2) より

ここまではまあ間違っていないと思います。「ボイド効果」という言葉が出てきたことに注目しておきましょう。問題は、その次の記事です。

爆発しない原子力発電所というと「軽水炉」である。水を使って燃料を冷やし、熱を取り出すこの簡単な原子炉は安全である。なぜ安全かというと「温度が上がると中性子を吸収する」という水の性質を利用しているからである。

何かの間違いで原子炉が原爆のような状態になることがある。そうなると核反応が進み、ドンドン温度が上がる。そうすると水が中性子を吸収して反応を止める。つまり「自動安全装置」が水なのである。実に簡単で素晴らしい。よく水がそんな性質を持っていたものだ。

以上、原子力を考える (3) より

これは間違いです。「温度が上がると中性子を吸収する」というようなことはありませんし、むしろ逆です。先の記事で自身が使った「ボイド効果」という言葉の意味を理解されていないのでしょうか。

ボイド効果の「ボイド」というのは英語の "void" で、これは「空」とか「無」といった意味です。ここで言うボイドは、水の中に生じた気泡のことを意味します。水が高温になると気泡 (ボイド) が生じて密度が下がり、水の果たす機能は低下します。これがボイド効果です。つまり、温度が上がると、水が中性子を吸収する効果は低下するわけで、武田氏が言っているのとは正反対の効果になります。

では温度が上がると暴走するのか、というとそうではありません。水には中性子を吸収する効果もありますが、中性子を減速する効果もあります。ウランを効率よく核分裂させるためには中性子を減速する必要があるのですが、軽水炉ではその減速に水を利用しています。軽水炉では、水がないと核分裂連鎖反応が起きないわけです。温度が上がると、ボイド効果によって減速の効果が落ちるため、その結果として核反応が抑制されます。

ということで、「温度が上がると、ボイド効果で中性子が減速されなくなって反応が抑制される」というのが正解です。些細な違いのように見えるかもしれませんが、この点の理解が間違っているといろいろ支障があるはずです。中性子が減速されなくなるだけなので、高速中性子で核分裂するプルトニウムの反応は抑制されなかったりもします。

※もっとも、核分裂連鎖反応が止まっても崩壊熱は出続けるので、それを冷やせないと炉心が融けてしまったりするわけですが。

……他にも色々と気になるところはありますが (爆縮の技術が無くてもプルトニウム型原爆が作れると思われているっぽいとか)、細かい間違いを挙げていくときりがなさそうですね。

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2011年4月14日(木曜日)

浜岡原発リプレースの背景

公開: 2011年4月17日13時5分頃

Twitterで、こんな記事を教えていただきました。

浜岡原発1,2号機を廃炉にして6号機を新設するというリプレース計画についての記事。2008年の12月から2009年の6月にかけて静岡新聞に連載されたもののバックナンバーのようです。

全体的に読み応えのある内容ですが、特に興味深いと思ったところをいくつか引用しておきます。

中電が高経年化対策に必要な保守・点検計画をまとめた報告書は、1号機が2006年5月、2号機が08年7月に“条件付き”で国の審査に合格した。ひび割れが見つかり、交換するとしていた原子炉心臓部の炉心隔壁(シュラウド)が未交換だったため、その部分の評価ができなかった。

(~中略~)

中電によると、1、2号機の運転再開に必要な費用は耐震工事費を含めて3000億円。工期は10年に膨らんでいた。一方、6号機の新設費用は3000億―4000億円を見込む。1、2号機の高経年化対策は、経済性の前に水泡に帰すことになった。

以上、高経年対策水泡に 「大手術」の巨費重く/第1部 廃炉(5) より

高経年化対策としてシュラウドの交換と耐震補強が求められたものの、コストが高く、リプレースの方が経済的と判断されたようです。一度動かした原発を後から補強するのは、予想以上に難しいようですね。強い放射能を持つ炉心で部品交換の作業をするのは大変なのだろうと思います。

市民が豊かな生活を手に入れる一方で、これらの“ハコ物”の維持・管理に必要な膨大な経費が、自治体を悩ませ始めている。

「教育や健康増進関連は必要投資だと思うが…」。御前崎市議の一人はそう前置きした上で、「多くの施設が市の財政を圧迫しているのは間違いない」と指摘する。

(~中略~)

「一度あてにすれば、その後も頼らなければならなくなる」。別の市議は交付金の特性をこう表現し、「簡単に6号機に飛びつけば同じことの繰り返し。まずは、(原発)依存体質から脱却したまちづくりを真剣に考える時ではないか」と強調する。市職員の一人は「昔は『金があるなら施設を』という要望が多かった。今は『こんなに造ってきたけど、本当に大丈夫なのか』と不安視する市民の声が目立つようになった」と感じている。

以上、“原発マネー”の恩恵 ハコ物維持に課題も/第4部 功罪(3) より

交付金の話ですね。原発誘致で得た交付金で施設を整備すると、その維持費がかかるようになって、交付金なしにはやっていけない体制になってしまうという話。福島の双葉町でも似たような話が出ていましたね (福島第一原発7,8号機の誘致)。

しかも、その交付金は……。

「納得しかねる」―。

職員たちが厳しい口調で迫った相手は、経済産業省資源エネルギー庁電源地域整備室の中村講治室長。同市役所を訪れた中村室長は、「正式決定ではない」と前置きした上で、1、2号機に関連する電源三法交付金を2009年度からカットする可能性を示唆した。

「既に交付金を盛り込んだ新年度予算が組み上がっていた。その場にいた職員は皆、耳を疑ったと思う」。居合わせた職員の一人は、そう振り返る。国の意向は市にとってそれほど唐突だった。

以上、廃炉で交付金危機 揺らいだ“安定財源”/第4部 功罪(1) より

なんと、廃炉になるとその時点からカットされてしまうという。廃炉が決定して運転が止まっても、原子炉は残留放射能を持ったままでまだそこにあり、解体には10年単位の時間がかかります。しかし、止まった時点で交付金がカットされてしまうという。老朽化した原子炉をなかなか廃炉にできない理由の一つは、このあたりにもあるのかもしれません。

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きみといると4

公開: 2011年4月17日0時50分頃

完全にノーチェックだったのですが、出ていると教えていただいたので購入。

最終巻ですね。最終章のタイトルは「きみといると」。君といると「楽しい」? それとも「かわいい」? いや、そうではなくて……。

読んでいる方が恥ずかしくなってしまうような展開は相変わらずです。まさかのギャグ顔も一瞬だけ出たりしますが、それもまた良い。

ごちそうさまでした。

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2011年4月13日(水曜日)

資源の少ない日本と核燃料サイクルの現状

公開: 2011年4月16日23時10分頃

こんな記事が……「アメリカが福島第一の「4号機」に注目する背景には「使用済み核燃料問題」があるのでは? (www.newsweekjapan.jp)」。

ちなみに、アメリカの原子力政策は日本とは異なります。日本の場合は「核燃料サイクル」の完成が国策でした。使用済み核燃料は数年間プールで水による冷却をして後、特殊な金属容器に入れて「中間貯蔵」をして更に冷却、その後に再処理工場でウランとプルトニウムの混合である「MOX燃料」に再生するという考え方です。そのための中間貯蔵施設はまだ未完成ですし、再処理工場も完全に稼働はしていませんが、考え方はそうです。

以上、アメリカが福島第一の「4号機」に注目する背景には「使用済み核燃料問題」があるのでは? より

核燃料サイクルは原子力政策を考える上で重要なポイントだと思いますが、意外に知らない人が多いようにも思います。

ずっと昔は、原子力推進のキーワードとして、「日本には資源がない」ということが盛んに言われていました。しかし冷静に考えると、日本ではウランはほとんど採れませんから、ウラン資源だって海外に頼らざるを得ないはずです。原子力が世界に普及すれば、ウランの枯渇も問題になってきます。

では、何が資源問題の解決になるのかというと、それが核燃料サイクル、その中でも特に「高速増殖炉サイクル」と呼ばれるものです。MOX燃料を高速増殖炉で使うことにより、ウラン238からプルトニウムを作り出すことができます。核燃料のウラン235は天然ウランにわずかしか含まれていませんが、ウラン238はたくさんありますので、これがうまく行けば資源問題の解決につながります。だから日本では核燃料サイクルが重要とされていたのです。

2005年の原子力政策大綱 (www.aec.go.jp)では、この高速増殖炉サイクルを2050年頃に実現させることを目標にしています。

3.高速増殖炉については、軽水炉核燃料サイクル事業の進捗や「高速増殖炉サイクルの実用化戦略調査研究」、「もんじゅ」等の成果に基づいた実用化への取組を踏まえつつ、ウラン需給の動向等を勘案し、経済性等の諸条件が整うことを前提に、2050年頃から商業ベースでの導入を目指す。なお、導入条件が整う時期が前後することも予想されるが、これが整うのが遅れる場合には、これが整うまで改良型軽水炉の導入を継続する。

以上、原子力政策大綱 より

この目標設定は、1995年の「もんじゅ」ナトリウム漏れ事故を踏まえたものです。もんじゅは2010年に運転を再開しましたが、同年8月に炉内中継装置が炉内に落ちて抜けなくなるという事故が起きて止まっています。今も装置は引き抜けておらず (24回チャレンジして全て失敗)、立ち往生している状態です。

想定どおりに動いている分には良いのですが、ひとたび想定外のことが起きると非常に面倒なことになる……というのは原子力全ての弱点だと思いますが、高速増殖炉は特にそれが顕著です。トラブルが起きるたびに、扱いにくいナトリウムの冷却剤が立ちふさがります。

技術的な問題を一つずつ解決していけば、と言いたいところですが、実はフランスの高速増殖炉スーパーフェニックスもずっと前に止まっているわけで、高速増殖炉という技術そのものが課題を抱えているようにも思えます。本当にこのまま進んで行けるのか疑問ですし、少なくとも、2050年までに高速増殖炉サイクルを実現できる可能性は低いと見ざるを得ない状況だと思います。

核燃料サイクル全体ではどうかというと、使用済み核燃料を再処理してMOX燃料を作るところまではできています。が、現在はもんじゅが止まっているので、MOX燃料を使う高速炉がありません。それでもあくまで再処理は続けられていて、MOX燃料を既存の炉で使うということをやっています。それが「プルサーマル」です (プルトニウムをthermal-neutron reactorで使うからプル・サーマル)。

通常の軽水炉でも、ウラン238が中性子を吸収してプルトニウムに変化し、さらに核分裂するという反応は起きています。ですからプルトニウムを使うこと自体は可能なのですが、そうは言っても大量のプルトニウムを入れることはできませんから、通常のウラン燃料にMOX燃料を少しだけ混ぜる形で使っています。ウラン燃料の多少の節約はできていますが、これはMOX燃料の本来の用途とはかけ離れたものです。

こういう現状が認識されているからでしょうか、最近は「日本には資源がないから原子力が必要」という話はほとんど聞かなくなってしまいました。かわりに出てきたのが、「原子力はCO2排出量が少ない」という議論です。

ところがつい最近、「日本には資源がないから」という議論を久しぶりに目にしました。

東京都の石原慎太郎知事が福島県災害対策本部を訪れ、佐藤雄平・福島県知事と会談しました。会談後、石原氏は報道陣に「私は原発推進論者です、今でも。日本のような資源のない国で原発を欠かしてしまったら経済は立っていかないと思う」。

以上、http://twitter.com/asahi_fukushima/status/51194755857653760 より

日本はウラン資源のない国なのですが、それでも経済が立っていくという認識なのでしょうか。それとも、高速増殖炉サイクルを完成させることを前提としているのでしょうか。核燃料サイクルの現状についてどのように認識されているのか、聞いてみたいところです。

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2011年4月12日(火曜日)

Pythonコードのアクセシビリティ

公開: 2011年4月16日21時20分頃

アクセシビリティ関係の飲み会で、どういう流れか様々なプログラミング言語の話題になり、Pythonが話題に。Pythonはインデントでブロック構造を表したりする言語なのですが、それはアクセシビリティ的にどうなのか、という話になって目から鱗でした。

確かに、スクリーンリーダーとの相性は悪そうですね。設定などをいじればスペースやタブを読み上げることも可能ではあるのでしょうが、読み上げたとしても分かりにくそうです。スクリーンリーダー利用のPythonプログラマの方もいらっしゃるのではないかと思うのですが、不自由されていないのでしょうか?

※その後、さらに謎の流れで「春のパンくず祭り (twitter.com)」の企画が持ち上がったりしましたが。

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Aチャンネル

公開: 2011年4月14日23時35分頃

購入。

実はまどか☆マギカ3巻 (www.amazon.co.jp)を求めて書店に赴いたのですが、1・2巻は大量に平積みされているものの3巻はどこにもなく、あまりの残念さにカッとなって衝動買いしたのでした。

内容ですが、いわゆる女子高生の日常をだらだら描いた系です。部活動があるでもなく、大きなイベントがあるでもなく、ひたすらだらだらと続きます。爆笑させられてしまうような強力な笑いどころがあるわけでもありません。

おそらく重要なポイントはトオルが可愛いと思えるかどうかで、トオルがちょっと可愛いと思えれば勝ち組です。そうでない人には合わないかも。

※私は勝ち組。

……あと、1巻の "Nation" は再現率が高すぎると思いました。

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2011年4月11日(月曜日)

侵略! イカ娘9

公開: 2011年4月13日23時40分頃

9巻が出ていたでゲソ。

相変わらずのイカ娘。……よく考えるとイカ娘がほとんど出ない話があったり、栄子がいまいち目立っていなかったりするのですが、にもかかわらずいつものイカ娘のように感じたのは、それだけレギュラーメンバーの存在感があるということなのでしょうか。

地味なところで、イカ娘の体重の秘密が明らかになったり。

いちばん面白かったのは「メイド! 男装! イカ!」というところですが、「イカ!」の時点で既に笑わされてしまい、その後にまだオチがあったのを堪能できませんでした。

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2011年4月8日(金曜日)

進撃の巨人4

公開: 2011年4月10日23時15分頃

4巻が出ました。

ストーリーよりも、過去の回想が面白かったです。特にサシャとか、サシャとか、芋女とか。サシャは何気に1巻 (www.amazon.co.jp)でもハムを盗んでいるんですよね。

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2011年4月7日(木曜日)

流言飛語への適切な対応を要請

公開: 2011年4月10日23時0分頃

東日本大震災に係るインターネット上の流言飛語への適切な対応に関する電気通信事業者関係団体に対する要請 (www.soumu.go.jp)」。

つきましては、インターネット上の地震等に関連する情報であって法令や公序良俗に反すると判断するものを自主的に削除することを含め、貴団体所属の電気通信事業者等に、表現の自由にも配慮しつつ、「インターネット上の違法な情報への対応に関するガイドライン」や約款に基づき、適切な対応をおとりいただくよう御周知いただくとともに、貴団体においても必要な措置を講じてくださいますようお願い申し上げます。

法令違反の内容を削除することは以前から行われていましたし、「表現の自由に配慮しつつ」とも述べられていますから、それほど過激な内容でもないとは思いますが……。

ただ、ともすると「政府が情報統制に乗り出した」とも受け取られかねない内容なのが気になります。「情報が隠されているかもしれない」という不安があると、「大変だ、政府は真実を隠している!」という類のデマが広まりやすくなるように思うのです。

デマに対抗するのに必要なのは、信頼できる筋からの情報です。信頼できる情報がどんどん入ってくれば、デマは打ち消されますし、広がる余地もなくなります。不審なものを削除することではなく、正しい情報をどんどん出していくことが勝利への道だと思うのですが。

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2011年4月6日(水曜日)

加害者家族

公開: 2011年4月10日2時10分頃

読み終わったので。

犯罪加害者や、冤罪で逮捕された人の家族がどのような経験をしたか、というドキュメンタリー。NHKの「クローズアップ現代」で放送したものに加筆したもののようですが、有名な事件の家族に取材していて興味深いです。

「インターネットの暴走」という章もありますが、ここはそれほど深く掘り下げられていないようで少し残念。加害少年や家族の写真やプライバシー情報が削除されずに残るという問題が挙げられていたり、2ちゃんねるの話が挙げられたりしていますが、視点としては特に目新しいものはないように思いました。

※あと、グロービートジャパンと平和神軍観察会の事件が引用されているのですが、これは「直接関係するものではない」という断り書きがあることを考慮してもちょっと違うような感じがします。

個人的に最も驚いたのは、アメリカでの加害者家族への反応。

実名が報道されたことで、母親のもとにはアメリカ全土から手紙や電話が殺到した。手紙は段ボール2箱に及ぶ数だった。

だが、その中身は、本書でこれまで見てきたような日本社会の反応とはまったく異なっていた。加害少年の家族を激励するものばかりだったのだ。

以上、p182 より

この違いの理由は何なのでしょうね。「民度」「意識」の問題ではないかとする見解が引用されていますが、このあたりはもう少し考察してみたいですね。

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2011年4月5日(火曜日)

都知事選:青少年育成条例への賛否

公開: 2011年4月7日1時10分頃

都知事選では、例の青少年育成条例についての立場を見て投票しようと思っていたのですが、各候補者のスタンスがいまいち分かりにくくて難儀していました。

嬉しいことに、MIAUのサイトにこんなものが……「都政におけるメディアに関する政策についてのアンケート」実施結果のお知らせ (miau.jp)。ちょっと一覧性に乏しいので、規制に関する回答のうち、回答が割れたものだけ抜き出して表にしてみました。

小池 晃中松 義郎渡邉 美樹東国原 英夫
青少年が利用するインターネット端末に対する施策について各家庭へのネットリテラシー教育支援各家庭へのネットリテラシー教育支援ネットサービス事業者が行なう自主的な取り組み各家庭へのネットリテラシー教育支援
SNSサイト等を巡るトラブルについて家庭での取り組みを促進するために、新たな啓発活動が必要学校・事業者による、新たな啓発活動が必要幾つかのウェブサイトの利用には、新たな制限が必要学校・事業者による、新たな啓発活動が必要
家庭での取り組みを促進するために、新たな啓発活動が必要
ゲームの規制について 現在の表現区分・販売規制で適切ゲームの影響を科学的に判断するために、さらなる調査が必要ゲームの影響を科学的に判断するために、さらなる調査が必要ゲームの影響を科学的に判断するために、さらなる調査が必要
青少年育成条例での漫画・アニメへの規制について反対反対賛成記載なし(慎重な運用が必要)
コンテンツに対する規制の主体について本来、個人や家庭の問題であり、行政はあくまでこれらのサポートに徹するべき本来、個人や家庭の問題であり、行政はあくまでこれらのサポートに徹するべき自治体レベルで、地域の実情にあわせた販売規制やゾーニング等の規制を導入すべき個々の企業や業界団体と連携し、民間の自主的な取り組みを支援するに留めるべき

ざっとまとめるとこんな感じでしょうか。

こうしてみると、非常に明快に分かれていますね。これで迷わず投票できそうです。

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2011年4月2日(土曜日)

福島第一原発7,8号機の誘致

公開: 2011年4月4日23時50分頃

こんな記事が……原発増設含む計画提出 東電「震災で見直す時間なく」 (www.asahi.com)

東京電力が、福島第一原発の事故が起きた後の3月末に国へ提出した電力の「供給計画」に、第一原発に7、8号機を増設する計画を盛り込んだままにし、福島県が反発している。東電福島事務所は「地震の影響で作り直す時間がなかった」と釈明している。

これは福島県双葉町が誘致していたものですね。今、「世界」2011年1月号 (www.iwanami.co.jp)の一部が無償公開されているのですが、公開されている中に「原発頼みは一炊の夢か──福島県双葉町が陥った財政難」という記事があります。この7,8号機の誘致に至る背景が描かれていて、非常に興味深いです。

地元での「誘致」という立場があるということ。目先の補助金だけを見た短絡的な考えではなく、「ポスト原発」の人材を育てようという考えがあったこと。しかし、うまく行かなかったこと。そして再度の誘致。

単純に「推進」と「反対」に二分する考えが目立ちますが、この記事を読むと、他にもさまざまな軸があり、さまざまな立場の人がいるのだということを再認識させられます。

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2011年4月1日(金曜日)

ごっこ

公開: 2011年4月4日1時0分頃

なんとなく購入。

なかなか凄いお話です。こんな衝撃的なシーンが。

こんな事が起きているにもかかわらず、基本的にはほのぼのした独特の雰囲気で話が進みます。明らかに犯罪なのですが、それでもそっとしておいてあげたくなるという。しかし、やはり薄氷を踏んでいるような感覚からは逃れられません。

ラストがまた不気味な展開になっているので、続きが気になりますね。

※あと、出てくる女性がことごとく美人ですね。黒目がちな女性を魅力的に描く力は素晴らしいと思います。

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