水無月ばけらのえび日記

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2003年7月24日(木曜日)

latest versions

WCAG1.0 の 11.1 にはこんな項目があります。

11.1 Use W3C technologies when they are available and appropriate for a task and use the latest versions when supported. [Priority 2]

以上、WCAG1.0 11.1 より

この後半の "the latest versions" とは、たとえば HTML3.2 ではなく HTML4.01、という意味だと思っていました。一般的に、より新しい仕様の方がよりアクセス性を考慮しているでしょうから、より新しい仕様の方を使うべきだと。実際、HTML3.2 と HTML4.01 を比較すると、アクセス性に関する配慮は比較にならないほど違います。

しかしそうではなくて、"the latest versions" というのは、「同じ仕様の最新の文書」を指すのではないかという指摘をいただきました。たとえば HTML4.0 は 1997-12-18 に Recommendation となった後、1998-04-24 に改訂されています。このような場合に、改訂された新しい版を使用すべしと言っているのではないかという話です。

※HTML4.0 はそもそも HTML4.01 で上書きされているので例として不適切なのですが、HTML4.01 は Recommendation になってから一度もアップデートされていないので……。

HTML の仕様書では両者いずれも "version" と呼ばれていますので、どちらの解釈も可能です。最新の文書を見るというのは言われるまでもなく当たり前のことではあるのですが、当たり前のことをあえて言っている可能性もあります。

ただ、そうしたときに気になるのは次の項目。

11.2 Avoid deprecated features of W3C technologies. [Priority 2] (Checkpoint 11.2)

以上、WCAG1.0 11.2 より

HTML3.2 では xmp や listing くらいしか deprecated とされていないわけで、HTML3.2 を採用して良いとなると、HTML3.2 でマーク付けをした場合には HTML4 で deprecated とされた要素や属性を使用しても問題ない、という結論になってしまいます。文書型宣言を付け替えただけで、ある要素のアクセス性評価が変わってしまうのは変でしょう。

もっとも、WCAG1.0 では "deprecated" という語を以下のように定義しています。

A deprecated element or attribute is one that has been outdated by newer constructs. Deprecated elements may become obsolete in future versions of HTML. The index of HTML elements and attributes in the Techniques Document indicates which elements and attributes are deprecated in HTML 4.0.

HTML4.0 で deprecated とされているもののリストを提供しているところから、この "deprecated" はあくまで HTML4.0 における deprecated を指す、という解釈は可能でしょう。その場合、HTML3.2 を使用している場合でも、HTML4 において "deprecated" なものを使用しないことが求められることになります。これならば特に問題はないでしょう。

HTML から離れて思考してみると、CSS1 と CSS2、DOM1 と DOM2 などについては、どちらがアクセス性が高いとはあまり言えない気がします。ただ、これらについている数字はそもそもバージョンではなくレベルなので、どちらの解釈をとっても「CSS1 と CSS2 のどちらを使うべきかについてはこの項目は何も言っていない」という結論になります。

XHTML1.0 と XHTML1.1 辺りについて考えると微妙なところですが、そもそも前半に "when they are available and appropriate for a task" という要件があります。前者の場合であっても「適する範囲でもっとも新しいものを」という意味に解釈するしかありませんので、XHTML1.1 が目的に適さない場合には採用しなくて良いことになります。これは HTML4.01 と HTML3.2 についても同様です。

……そんなわけでいろいろ考えてみましたが、やはりどちらの解釈も可能なように思えます。

まあ、いずれにしても HTML3.2 では他のチェックポイントを満たすことができませんから、11.1 によって排除されてもされなくても「WCAG1.0 に従うのであれば HTML3.2 は採用できない」という結論には変わりありません。WCAG 自体も、2.0 の WD ではがらりと変わっていたりしますし、あまりこだわらなくても良いような気はしています。

関連する話題: HTML / アクセシビリティ / DOM

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