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経営者は裁量労働を甘く見ていないか

2011年11月7日(月曜日)

経営者は裁量労働を甘く見ていないか

公開: 2011年11月14日2時15分頃

こんなお話が……『「退職で損害」と訴えられたSE、残業代未払いで会社を訴え勝訴 (slashdot.jp)』。

また裁量労働制としながらも、納期やノルマを定められ、ときに営業といった制度対象外の仕事も要求されていたことから、要件を満たしていると認められないとして、残業代については請求通りの1136万円の支払いを命じた。

「裁量労働制だから残業代を払わなくて良い」と考えてしまっている経営者も存在するだろうと思いますが、それは大きな間違いなので注意しましょう。「裁量労働」という名前がついているかどうかは関係ありません。実態を見られます。

そもそも、裁量労働で残業代込みの支払いをしていても、深夜や休日の割増賃金は支払わなければなりません。それを払っていない場合、後で付加金つきで支払う羽目になる可能性があります。

(付加金の支払)

第百十四条  裁判所は、第二十条、第二十六条若しくは第三十七条の規定に違反した使用者又は第三十九条第七項の規定による賃金を支払わなかつた使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、違反のあつた時から二年以内にしなければならない。

以上、労働基準法114条 より

37条というのが「時間外、休日及び深夜の割増賃金」を定めたものです。このあたりを甘く見ていると、会社にとってきわめて大きなリスクになる可能性があります。

裁量労働を「残業代を払わなくて良いので人件費をカットできる制度」と思っている経営者の方がもしいらっしゃったら、注意した方が良いでしょう。特に、「裁量労働にしたら人件費が減った」という実績が実際にある場合、会社は既に爆弾を抱えてしまっていると思った方が良いです。残業代込みのどんぶり勘定で払うようにしたはずなのに減ったとしたら、それは違法な運用になっている可能性が高いです。

心当たりのある方はくれぐれもご注意を。

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