カンニングが偽計業務妨害?
2011年3月2日(水曜日)
カンニングが偽計業務妨害?
公開: 2011年3月10日17時15分頃
大学入試での不正行為、いわゆるカンニングの話が盛り上がっているようですね……入試投稿の携帯会社を特定 警察当局、IPアドレス入手 (www.asahi.com)。
京都大(京都市)や早稲田大(東京都)など4大学で入試問題が試験中にインターネット上の掲示板「ヤフー知恵袋」に投稿された問題で、警察当局は、この書き込みに使われた携帯電話のIPアドレスを入手し、携帯電話会社を特定した。捜査関係者への取材で分かった。
警察が動いているという時点で、直感的に疑問に思う点が2つあります。
- そもそも、「試験中に知恵袋に投稿してはいけない」というルールは明確になっていたのかどうか。常識的には駄目なような気はしますが、持ち込み可能な試験というのもあるわけです。明確に伝えていたのか、破ったときにどうなるのかを伝えていたのか、というのは1つのポイントでしょう。
- 仮にそのルールが明確になっていたとしても、それは京都大学が定めた私的なルールに過ぎないはず。この場限りの私的なルールを破ったことで刑事罰を課すことは妥当なのか。
で、警察が何の容疑で動いているのかが疑問になってくるわけですが、読み進めると……。
京都府警と警視庁は、偽計業務妨害の疑いがあるとみて捜査しており、2日にもこの会社に照会し、投稿に使われた携帯電話の特定を進めるとともに、契約者に関する情報の提供を求める方針。
ほえー、偽計業務妨害ですか。どういう論理構成なのでしょうね。
偽計業務妨害というからには、業務が妨害されたという主張があるはずです。カンニングが発覚して忙殺されたというのは分かるのですが、発覚しなければ業務が妨害されることもなかったはずです。そして犯人は、どう考えても発覚しないことを望んでいたでしょう。業務を妨害しようという意図もないでしょうし、業務が妨害されても構わないという未必の故意さえ認められないのではないかと思いますが。
これがたとえば組織的な犯行だという事になれば、また話は変わってくるでしょう。組織的に入試の不正を斡旋していれば、入試の業務そのものを形骸化させる意図があったと思われても仕方ないように思います。しかし、組織的に行っていたなら「Yahoo! 知恵袋」を利用するわけがないと思うわけで……。
……いや、個人でもどうかとは思いますが。試験時間中に回答が得られるかどうか分かりませんし、質問を書き込んだり、回答が付いたかどうかチェックするのにも時間が必要です。そんな時間があったら他のことをしたほうが良さそうな気はします。
しかし冷静に考えてみると、たまたま知恵袋が発覚しただけで、実はいろいろ行われていたのかもしれませんね。検索を使えば、歴史や地理の問題は楽勝でしょうし。
※対策として通信妨害を……という話も一部で出ているようですが、通信ができなくても電卓や辞書の機能が使えるでしょうし、教科書や参考書の内容を丸ごと取り込んでおくこともできますから、解決にはならないでしょう。
- 「カンニングが偽計業務妨害?」にコメントを書く
- 前(古い): まさかの苺ましまろタクシー
- 次(新しい): 魔法少女まどか☆マギカ 1