ナイチンゲールの沈黙
2008年11月4日(火曜日)
ナイチンゲールの沈黙
公開: 2025年1月20日19時30分頃
読み終わったのでメモ。
- ナイチンゲールの沈黙 上 (www.amazon.co.jp)
- ナイチンゲールの沈黙 下 (www.amazon.co.jp)
前作 (www.amazon.co.jp)がなかなか面白かったので、購入したわけですが……。
キャラクターは魅力的だと思うのですが……。
うーん、なんというか、これ、ミステリと思って読んじゃダメなのかもしれないですね。
以下、ややネタバレ気味な上にネガティブなコメントになりますが……。
ミステリとしての素材としては「殺人」と「歌の謎」という2要素があるわけですが。
まず殺人の方は、フーダニットとしては成立していませんし、ハウダニットではありませんし、あえて言うとホワイダニットなのでしょう。が、その結論を読んでも「なんとそうだったのか!」とか「やっぱりのそうか!」といった感じではなく、「へえ、そうですか」としか思えなかったというのが悲しいです。奇抜なトリックも意外な動機も何もありませんし……。あるいは社会派なのかと考えてみても、登場人物のほぼ全員が「被害者は殺されて当然」と思っているようにしか思えないわけでして、警察は「仕事だから」という理由で犯人捜しをするだけなのですから盛り上がりようがありません。
殺人はオマケで、ミステリとしての本質は歌の謎にあるのだ……とも考えてみましたが、こちらはこちらで論理的な裏付けに乏しく、これまた「へぇ」としか言いようがないです。それも3へぇくらいです(古いな)。というか、これほとんどオカルトじゃないですかね?
※個人的に、ミステリにオカルトを持ち込むのはアンフェアだと思うのです。論理的に説明できるはずだと思ってあれこれ考えながら読んでいるわけですから、「超常現象でした」とか言われると本当にしらけます。三毛猫ホームズの騒霊騒動 (www.amazon.co.jp)なんかは冒頭で事前にエクスキューズしているので楽しく読めましたが、霧越邸殺人事件 (www.amazon.co.jp)には本当に残念な思いをいたしました。
むしろ作者の意図としては、DMA (Digital Movie Analisys) の話をしたかったのかもしれないと思いましたが、これもなんか嘘くさく見えてしまって……。CTは物体を固定した状態で連続した断層写真を撮っているわけですから、それを3Dに展開できるのはわかります。が、ふつうに現場を撮影した (としか思えない) ムービーデータから、そんなに簡単に 3D モデルが起こせるものなのでしょうか。骨折の話から被害者の状態を推測するあたりとか、そんな一瞬で解析できると思えないのですが……。
というわけで、なんかミステリとしてはダメだと思います。ではどう読むべきかと言われると、なかなか難しいですが……前作のキャラのファンに対して、彼らの後日談をまったり描いた萌え的作品(?)……といったところでしょうか。前作は面白かったですし、キャラクターは魅力的だと思いますので、そういうものだと思えば満足できそうです。
※というか、前作 (www.amazon.co.jp)が面白かったぶん、期待が大きすぎたのかも。
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