安全なWebブラウザの使い方
2008年11月4日(火曜日)
安全なWebブラウザの使い方
更新: 2009年5月31日23時55分頃
「JPCERT/CC、技術メモ「安全なWebブラウザの使い方」を公開 (internet.watch.impress.co.jp)」。JPCERT/CC 技術メモ (www.jpcert.or.jp)でPDFがダウンロードできます。
これはすばらしい良書ですね。なぜなら、「Netscapeを使うな」という主旨のことが書いてあるからです。名指しでないのが残念ですが。:-)
それはそれとして、すこし気になった点をいくつかメモしておきます。
8ページ目。
SSL 2.0 には実装上の脆弱性があります。SSL 2.0 のみでしか利用できない Web ページはほとんど存在せず、またサポートしている暗号のアルゴリズムも古いため、ブラウザの設定で無効化して使わないようにすべきです。
実装上の脆弱性なら、脆弱でないように実装すれば良いだけのように思えますが……。
実際には、これは仕様上の制限だと思うのですが、どうなのでしょうか。中間者が暗号強度をダウングレードする攻撃が有名ですが、SSL2.0の仕様にしたがって実装する限り、これを避けることはできないのではないかと思いますが……。
※参考: SSL 2.0 と輸出強度暗号 (www.oiwa.jp)
それから9ページ。
この章では、前章で述べた注意事項に対応する、個々の Web ブラウザでの具体的な設定方法を、主なWebブラウザについて説明していきます。
と言いながら、
[ツール]→[インターネットオプション]→[セキュリティ]→[Web コンテンツのゾーン*を選択してセキュリティのレベルを設定する] →[インターネット] / [イントラネット]/ [信頼済みサイト]/ [制限付きサイト]を選択 →[既定のレベル]を選択する、もしくは[レベルのカスタマイズ]で各種スクリプトごとにゾーンごとの信頼度に応じて有効/無効/確認を求める等を選択する →場合によって[信頼済みサイト]/ [制限サイト]のそれぞれのゾーンごとに、Web サイトの信頼度に応じて、URLを[追加]/[削除]する
「場合によって」「信頼度に応じて」って……どのあたりが具体的なのでしょうか。どのゾーンにどのセキュリティレベルを適用すれば良いのか、具体的にわからないと設定できないと思います。
また、デフォルトでスクリプト無効にしましょう、という旨のことは書かれているのですが、有効にしたいときにどういう運用をすれば良いのか分かりません。信頼済みサイトゾーンを利用する想定なのであれば、信頼済みサイトゾーンのセキュリティレベルを「低」のままにしないように注意する必要があるでしょう。
※この作者はIEを使っていないのかもしれないなぁと思ったり。Firefoxの設定はけっこう充実しています。
※2009-05-31追記: スクリプトを無効にして運用するのは大変なので、普通の人にはあまりオススメしたくないですね。「スクリプト無効は万人にオススメできるのか」参照。
22ページ。
不特定多数によって書き込みが行われる掲示板・ブログ等の Web サイトでは、極力リンクをクリックしない方がよいでしょう。どうしてもリンク先にアクセスしたい場合は、リンクをクリックする前に、カーソルをリンクの上に移動し、ステータスバーなどでアクセスしようとしている URL を確認し、信頼できるドメインかどうかを十分に吟味した上でクリックして下さい。
(~中略~)
表示と参照先URLが異なる、単純な HTML 上の表示の偽装への対策は、上記②の対策で紹介したステータスバーなどによる確認が良いでしょう。しかし、一部 Web サイトでは JavaScript 等によってステータスバーに表示される URL を置き換えている場合があります。これを防ぐにはスクリプトの実行を一旦制限した上で URL を確認する必要があります。
そこで攻撃者はリダイレクタを悪用するわけですね。:-)
アクセス前にリンク先のURLを確認する、という手法には限界がありますし、これを素直に実践すると、リンクをクリックするたびに「スクリプト無効にする→URLを確認する→クリック」としなければならないのですが、それは現実的なのでしょうか。「悪意あるサイトにアクセスしないように気をつける」というより、「既に悪意あるサイトにアクセスしているかもしれないという前提で行動する」という方が良いようにも思いますが。
これに関連して、24ページ。
HTTPS による暗号化通信が行われている Web ページでは、SSL サーバ証明書に問題がないことを確認することが重要です。Web ブラウザは証明書の検証を自動で行い、失敗した場合には警告を表示します。警告が表示された場合には、速やかにそのWeb ページの閲覧を中止してください
これはまあ良いのですが、そもそもHTTPSによる暗号化通信が行われていないサイトに入力フォームがあった場合にはどうしたら良いのでしょうか。HTTPSのときだけ気をつけて、HTTPSでないページでパスワードや個人情報を入力してしまったら意味がないような気がしますが、それはどこにも書かれていないのですよね。
※まあ、事情があって書けなかったのかもしれませんが。:-)
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