重力ピエロ
2008年9月22日(月曜日)
重力ピエロ
読み終わったのでメモ。
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ストーリーはけっこう陰鬱で重苦しいものなのですが、文体が軽妙なので読みやすいですね。謎の大半も途中で気づきますし、全体的にライトな印象です。登場人物もちょっと浮世離れしていて、これも雰囲気を明るくしています。が、発想や思考が浮世離れしているということは、すなわち、ちょっと共感はしにくいということでもありますが。
ラストは……ハムラビ法典の話を出したのなら、肉親に会いに行かなきゃダメなのでは。
ラスト間際に「何故人を殺してはいけないんだ?」と訊かれたら……という話がありますが、個人的には、これは質問自体が成立しないと思いますね。現在の日本の刑法は死刑を許容していますし、それは実際に運用されていますから、この社会では「悪い奴は殺すべきだ」というコンセンサスが得られているのだと考えられます。無条件に「人を殺してはいけない」とするコンセンサスは得られていないはずです。
※もちろん、現在のこのスタンスに反対して「いかなる場合でも人命は尊重すべきだ」と主張する人も大勢いますし、個人的には応援していますが、大多数であるとは言えない状況でしょう。
……と、このくらいの議論があっても良いのかなぁと思ったりしたのですが。
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