2016年1月4日(月曜日)
デザイニングWebアクセシビリティの方針変更の話
公開: 2016年1月4日21時40分頃
先月末に「Web担当者向けセミナー:障害者差別解消法 施行目前!アクセシビリティ対応、なぜ始める?どう進める? (connpass.com)」というイベントを開催したのですが、その際にこのようなご質問をいただきました。
【質問:太田さん、伊原さん】デザイニングWebアクセシビリティ、発売まで日数がかかったと思うのですが執筆途中に世の中の動向から鑑みて加筆・修正が必要になったりしたことはありましたか?それとも基本は同じで伝えるための手法に時間を注力したのでしょうか?
#a11yfuture (twitter.com)
— ma-san@仙台麺活 (@ma_san__) 2015, 11月 30 (twitter.com)
ふつうに回答してもよかったのですが、セミナーの内容とずれてくる部分もありますので、ここで長目のコメントを書いておきます。
「デザイニングWebアクセシビリティ 誕生秘話 (www.slideshare.net)」でもご紹介しましたが、デザイニングWebアクセシビリティ (www.amazon.co.jp)の執筆を始めたのは2012年の6月です。発売が2015年7月ですので、3年かかったことになります。
Webの世界はいろいろと変化が早いので、これだけ時間が経つと、いろいろ変わっていることがあります。特に大きな影響があったのはHTML5の普及です。最初に執筆したのは「実装」の章 (最終的に9章になったもの) だったのですが、執筆に先立ち、本書のソースコード等をどうするかが問題になりました。
2012年といえばIE10も出ていない頃で、HTML5はそこまで普及しておらず、使うとしてもIE8以前のためにHTML5shivのようなものを入れてやらなければならない状況でした。そのため、ひとまずはHTML5ではなく、XHTML1.1を前提に執筆することにし、HTML5を使うときの注意点についても言及するような形で進んでいきました。
その後、他の章などを執筆している間に時が経ち、2014年の末となりました。この段階で全体の見直しを行ったのですが、2014年10月にはHTML5 (www.w3.org)がW3Cの勧告となっています。普及も進んでおり、新規案件についてはHTML5を採用するかどうか迷うということもほぼない状況になっていました。
ということで、このタイミングで全体をHTML5前提で見直すという作業を行うことになりました。HTMLの仕様自体は互換性があり、そこまで大きく書き直さなければならないわけではありませんでしたが、細かい部分を見直したり、追記したりする必要はありました。たとえば、figcaption, sectionといった要素や、tableの説明に関する部分など、HTML5の仕様を参照して書き直した部分がいくつかあります。ちなみに見落としもあって、「dl要素大喜利的な何か。 (togetter.com)」はHTML4前提で書かれていたものがそのまま残ってしまっていたわけです。
ということで、3年も経つとHTMLそのものが変わってしまうのだな、というお話でした。
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