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2011年2月18日(金曜日)

論理少女5

更新: 2011年5月7日18時55分頃

出ていたので購入。

最終巻でしたか。さすが最終巻というべきか、自分でも考えてみたくなるような面白い問題が多く、楽しめました。1巻に次ぐ面白さだったと思います。

以下、順に気になった問題をメモしておきます。

ハノイの塔の問題

積み重ねたコインを1枚ずつ移動していくパズル。有名な問題ですが、なぜか「ハノイの塔」という名前は出ませんでしたね。

4枚のコインを移動する手数について、先生の解説では一般化してからn=4を代入していましたが、3枚を動かすのに7手かかることが分かっているはずですから、以下のように分解して考えれば一般化しなくても回答できます。

  • まず上の3枚をどかす (7手)
  • 一番下のコインを移動する (1手)
  • どかしていた3枚を上に載せる (7手)

基本的にハノイの塔は再帰の問題なので、1枚少ない状態の答えが分かっているなら、それをベースに考える方が筋が良いと思います。

水泳部員を一言で追い出す

ルールがちょっと曖昧ですね。

まず、「たった一言」の定義がはっきりしません。霧子の回答より「2、3、6、7、9番は出ていけ」のほうが短くて簡潔な気もします。

また、霧子の回答では他部員が出ていった後に水泳部員まで出ていくことになりそうです。水泳部員は命令に従わなくて良いということであれば、「全員出ていけ」で済みますし。

長さを求める問題

これが今作で一番盛り上がる部分だと思うのですが、いつきの計算方法には問題があると思います。

いつきは最終的に (31.847×100) / (31.847 + 100) を計算しているのですが、この31.847という数値は、100を3.14で割って求めたものです。しかし、そもそも円周率は3.14ではありませんから、この値は正確ではありません。Google電卓の計算では、3.14とπを使用した場合、それぞれ以下のようになります。

  • 100 / 3.14 = 31.8471338
  • 100 / π = 31.8309886

と、この時点で誤差があることがわかります。いつきはこの数字を丸めた状態で複数回使って計算しているのですが、できるだけπを残して式を解き、最後にπ=3.14を代入するほうが誤差が少なくなるはずです。

a = 100, b = 100/π のときに 1/a + 1/b = 1/c であるような c を求めれば良いのですから、

  • 1/100 + π/100 = 1/c
  • c = 100 / (π + 1)

となります。そして 100 / (π + 1) をGoogle電卓で計算すると、こうなります。

  • 100 / (π + 1) = 24.1453007

いつきの回答は24.155メートルですから、少し誤差が出ましたね。円周率を3.14とした場合はどうなるかというと……。

  • 100 / (3.14 + 1) = 24.1545894

おや、意外にもいつきの回答と一致する結果になりました。いつきの計算方法もGoogle電卓で計算しておくと、

  • (31.84700 × 100) / (31.84700 + 100) = 24.1545124

と、こんな感じです。誤差はありますが、思ったより少ないですね。偶然かもしれませんが結果オーライで。

よく考えると円周率を3.14とするというルールも無かったような気がするので、そういう意味では誤差はあります。ただ、そもそもどの程度の精度で回答する必要があるのか全く述べられていないわけです。トラックの線がミリ単位の正確さで引かれているとも思えませんし、誤差がどのくらいまで許容されるのかは何とも言えません。「約25メートル」と答えて「精度は指定されていない」と言い張るのも一計かもしれません。

※2011-05-07 追記: NHKで2010年5月4日に放送された「頭がしびれるテレビ・神はπに何を隠したのか」によると、陸上のトラックの設計では円周率を3.1416として計算することになっているのだそうです。

津隠ダウト

ルールがフレキシブルすぎます……。

  • 霧子がタイムアウトで失格と言われていますが、制限時間があるというルールは説明されていません。
  • 「カードの山から3枚を持ってテーブルに対峙」とはっきり説明されているのですから、ミーナはルール違反でしょう。
  • 「相手に1つ質問できる」というルールのはずですが、なぜか相手ではなく先生に、しかも平然と2回質問するいつき。相手に質問しない場合は回数は関係ないのかもしれませんが、いつきの口ぶりはルールで許された「質問」という感じなので……。

あと、細かいですが巻末の「ある日の一日」で沖橋さんが2回登場しているふうですね。実際には2回目は井波さんです。

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