2011年12月14日(水曜日)
武雄市Facebook化の動機は実名利用にしたかったから
公開: 2011年12月31日0時55分頃
こんな記事が……「「2ちゃんねるで叩かれていた」――Facebookにはまり続ける武雄市長の“野望”とは (1/4) (www.itmedia.co.jp)」。
Webが紙と違うところは、ユーザーとの双方向性があることだと思っています。だからといって市の職員がHTML言語を使って頻繁にサイトを更新するのは無理だし、掲示板のようにすれば「2ちゃんねる」みたいに荒れてしまう。
HTMLを書いて更新するのが大変なら、CMSというものがありますよ……と言いたいところですが、続きを読むと、Facebook化の動機はそんなところにはないという事が分かります。
例えば僕は大阪府高槻市に出向したとき関西大学を誘致しようとして、結果的にそれは成功したんですが、そのときもものすごく悪口を書かれましたね。しかも、それを書いているのが誰だか分かればまだいいんですが、分からないわけですよ。だから当時「これはだめだな」と思った。全然建設的じゃないし、“便所の落書き”だと。
(~中略~)
要するに、Facebookは基本的に実名利用というところが一番大きいですね。自分が2ちゃんねるで叩かれまくっていた10年前から思っていたことを、今ようやくクリアできた。これが、市のページをFacebookに移行しようとしたきっかけです。
なんと、実名利用にしたかった、というのが動機なのだそうで。Facebookに移行という話自体は面白いと思っていたのですが、こんな動機だったとは……。「実名でコミュニケーションしてほしい」と言えば聞こえは良いでしょうけれど、それはつまり、「実名を名乗れない事情のある人は市のサービスを利用するな」ということですよね。
実名を名乗らないと利用できないサービスもあるでしょうし、そういうサービスで名乗れというのは分かります。しかし、この話はそうではありません。市政に何か問題があると思ったとき、匿名で指摘されることを防ぎたいという話です。要するに、匿名のクレームを封殺したいという話でしょう。
まあ、人としてそういう気持ちを持つことは分からないでもありません。しかし、市のサイトがそういうスタンスではまずいのではないでしょうか。いや、仮に企業サイトだとしても違和感がありますが。
好意的に解釈するなら、匿名でクレームを言おうとしている人に対し、積極的に返答してコミュニケーションをしたい、という考えなのかもしれません。実際、最近では、企業の中にもそういう動きがあります。しかし、単に返答したいのであれば実名は必要ないはずです。たとえばTwitterで十分ですし、実際に多くの企業はTwitterを活用しています。
そして、引用が前後しますが、市長は以下のように述べらています。
このようなことをずっと考えていて、Twitterが出てきたときは「これかな」と思いました。でもTwitterの場合は実名制が担保されていないし、だんだんノイズが入ってきてしまって。「これはちょっと違うかな」と思い始めたころに、Facebookと出会ったわけです。
やはり、返答がしたいのではなく、匿名のクレームを封殺したいのだと受け止めざるを得ませんでした。
Facebookに移行しても、2ちゃんねるにスレッドが立つことを防ぐことはできません。しかし、実際問題、スレッドが立ちにくくなる可能性はあるでしょう。サイトに自由にアクセスできないと、共通の話題にしづらくなります。良い話も、悪い話もしにくくなります。これはFacebookに限った話ではなく、会員制サイトのコンテンツは話題にしにくいです。
まあなんというか、私は武雄市民ではありませんので、好きにしてくださいという感じではあるのですが、正直なところ、がっかりしています。
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そば屋の独自暗号化が話題に
公開: 2011年12月30日22時10分頃
こんなコンテンツが話題に……「そば屋五兵衛 WEB サイトにて使用されている暗号化技術に関して (www.sobaya-gohei.com)」。
もちろん安全ではないわけですが、安全だと主張しているのか、そうでないのか、良く分からない文章ですね。いちおう以下のような記述がありますので、安全性が低いという自覚はありそうですが。
いわゆる”オレオレ証明書”ですが、データをプレーンテキストのまま送信するよりは安全性が高いかと思います。
SSL/TLSを使った場合と異なり、この手法には以下のような問題点があります。
- サーバ証明書を検証していないため、偽の相手と通信したり、中間者攻撃を受けたりすることを防げない
- 暗号化を実行するスクリプト自体が安全でない経路で送られてくるため、スクリプトそのものが改竄されることを防げない
そもそも暗号化されているのかどうかを利用者が確認する術がないので、攻撃者によって偽フォームに差し替えられていても気付きようがありませんし、防ぐ手段もありません。
安全でないものを「安全だ」と告知していれば問題があると思いますが、安全ではないということを告知して使うのであれば、まあ大きな害はないでしょう。送信される内容によっては、傍受される、改竄される、偽の相手に届く、といった事が起きても許容できる場合があります。利用者が危険性を理解していれば、許容できるような内容しか送らない、という自衛策を取ることができます。
それに対して、本来は安全でないものを「安全だ」と告知している場合は問題です。利用者は、危険だと知らずにセンシティブな内容を送ってしまう可能性があります。そのような事は避けなればならないでしょう。
一般的に、独自の暗号化方式は安全性が検証されていないことが多いです。「面白いから」という理由で使うのはべつに構わないと思いますが、不用意に「安全」を喧伝しないように注意したいところです。
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