水無月ばけらのえび日記

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2011年7月21日(木曜日)

鼻血とガードレールの金属片

公開: 2011年7月27日1時25分頃

こんな話が……「鼻血効果 (hirorin.otaden.jp)」。放射線の影響によって鼻血を出す子供が増えている、という噂についての話なのですが、私が思い出したのは「ガードレールに金属片が挟まっている」という事件です。

2005年頃の話ですが、ガードレールに鋭い金属片が挟まっていて、自転車に乗っていた中学生が怪我をするという事件がありました。マスコミでは報道がかなり盛り上がり、何故こんな金属片が挟まっていたのか、その謎について盛んに分析を始めました。愉快犯の仕業、という見方が有力になってきた……と思ったら、同様の金属片が挟まっているケースが次々に発覚。マスコミからは、組織的な犯行ではないか、ネットを通じて結託したのではないか、など様々な憶測が流れたわけですが、最終的にはどのくらい発見されたかというと……。

・直轄国道 : 4,188 箇所

・都道府県、政令指定都市が管理する道路 : 18,903 箇所

(点検完了が45都道府県、点検中が2県)

・市町村が管理する道路 : 14,394 箇所

(点検完了が2,299市区町村、点検中が98市区町村)

・道路関係4公団が管理する道路 : 408 箇所

全国合計 : 37,893 箇所

以上、国土交通省の車両用防護柵(ガードレール)の点検について(調査結果)<6月8日15:00時点 より

国土交通省が把握したその数、実に37,893です! これが犯行なのだとすれば、もの凄い行動力、組織力です。

その後、国土交通省が委員会を立ち上げて原因調査を行っています……「防護柵への付着金属片調査委員会 (www.mlit.go.jp)」。この調査は非常に興味深いのですが、結論としては自動車の一部らしいということが分かりました。自動車がガードレールに接触し、継ぎ目やボルトに引っかかると、鋭利な三角形に剥ぎ取られてくっつく場合があるという。

怪我をした中学生には申し訳ないですが、分かってみればなんということはない話です。しかし驚くのは、これが全国で何万件も発生していたのに、誰も気にしていなかったということです。そして報道されるや、次々に事例が報告されました。実は以前からずっとそうだったのに全く報告されておらず、一度注目されると、そこではじめて一気に出てくるということになるわけです。

こう言うことは結構良くありますので、犯人捜しをする前に、「実は以前からそうだったんじゃなかろうか」などと考えてみるのは良いことだと思います。

関連する話題: 科学 / 思ったこと

科学的とはどういう意味か

公開: 2011年7月26日1時30分頃

何となく購入。

前半が非常につらくてめげそうになりました。「文系」という概念についての分析があまりに非科学的で、読むのをやめたいと思ったくらいです。

※私は高校で文系を選択して大学では法律を学びましたから「文系」にカテゴライズされるでしょうが、べつに数学や科学が嫌いだったわけではありませんし、今でも嫌いではないつもりなのです……。

しかし、そこさえ乗り越えてしまえば、あとは面白くなってきます。地鎮祭不要、墓不要、占い不要というのは私もずっと思っていることですが、科学的な思考をすればやはりそうなるのでしょうね。

科学とは方法であり、他者によって再現できるものだという主旨の説明がありますが、この説明は少し引っかかりました。疫学的な調査では、事象を再現できない場合があります。たとえば、チェルノブイリ原発事故で放射線がヒトにどのような影響を与えたかという調査では、データを見直すことはできても、事故そのものを再現することはできません。このような手法は科学ではないということになるのでしょうか。疫学は科学ではないとするスタンスであっても矛盾はありませんが、どちらなのかは良く分かりませんでした。

私が思うに、科学とは、ある事象について万人が納得できるような説明をしようとすることで、普遍的な説得力がある手法ならば良いのではないでしょうか。ただし普遍的であることがポイントで、特定の思想や信条がないと理解できないものは科学ではないでしょう。検証できないものも科学ではないと言って良いと思います。ガードナーの「奇妙な論理 (www.amazon.co.jp)」では「反証不可能な仮説」が疑似科学 (ニセ科学) の例として挙げられていました。

ただ、この「普遍的な説得力」の解釈も難しいところがあります。一見すると説得力があるように見えるが、実は……ということも良くあって、だからニセ科学がはびこったりするのでしょう。だからこそ科学的な知識や素養が重要、ということでもあるのでしょうね。

思いこみ、割り切り、決めつけ、単純化の話も出ています。これらは、目の前のことと関係ない余計なこと (のように思えること) を考えずに済む能力でもあるので、一概に悪いものだとは言えないと思っています。本書では「割り切っているという自覚が重要」というスタンスで、その考え方には共感できました。

関連する話題: / 買い物 / 科学

IS発表

公開: 2011年7月22日19時25分頃

bAの新しいCMSサービス、ついに発表となりました。その名は「IS」。

以前、bAサイトをリニューアルしたときに「クラウドCMSによるサイト構築を開始しました (www.b-architects.com)」という発表をしていますが、そのCMSがこれです。何となく分かっているかもしれませんが、この開発には私もかなり関わっています。

どんな製品なのか、という点については「サービス概要 (www.industry-std.com)」のページにいろいろ書きましたが、最大の特長は、コンポーネントエディタによるコンテンツ編集でしょう。見出し、段落、リスト……といったコンポーネントがあらかじめ用意されていて、それを選択してデータを入力することでコンテンツを作成します。

ニュース記事を作る場合は、たとえばこんな感じになります。

選んでデータを入力するだけなので、HTMLの知識が不要というのがメリットです。しかし真のメリット (と、私が考えているもの) はそこではなく、自由度が低いことです。デザインやレイアウト、マークアップを自由に変更することができないのですが、それが大きなメリットだと考えています。

CMS製品の中には、「WYSIWYGエディタで自由な入力ができる」「HTMLの知識がなくてもデザインやレイアウトを自由に変更できる」といったことを売り文句にしている物がよくあります。確かにWYSIWYGエディタは自由度が高く、それは大きなメリットでしょう。

しかし企業サイトでは、その自由度が裏目に出ることがあります。ニュースやプレスリリース、製品情報といったコンテンツは、ほぼ定型です。デザインの自由度はあまり必要なく、むしろ全体を統一したいというニーズの方が強いです。

自由度の高いWYSIWYGエディタでは、作業者によってデザインが違ってしまうことがあります。また、見出しのつもりで「太字」を選択したらb要素になった、見えない空の要素ができてしまった、要素の入れ子構造が変になった、といったマークアップのトラブルもよくあります。

※たいていはHTMLを編集するモードを備えているので、問題が起きてもHTMLを編集すれば解決できます。が、それができる人は、WYSIWYGエディタを使わずに最初からHTMLで書いてしまうことが多いような……。

デザインを統一し、望ましいマークアップにするためには、ガイドラインや運用マニュアルを充実させれば済みます。実際、多くの企業はそうしていると思いますが、それは結局のところ、作業者の熟練が必要になるということです。

それに対し、ISでは用意されたコンポーネントだけしか使えませんし、マークアップを入力することもできません。選べるコンポーネントも少ないので、誰がやってもほとんど同じ構成になります (段落の区切り方や区切り線の有無などの差は出ますが)。コンポーネントの選び方さえ間違えなければ、望ましくないマークアップになることもありません。

また、データとマークアップが分離されているのも特長です。入力データにマークアップを一切含まず、データとマークアップを完全に分離していますので、コンテンツ部分のマークアップをあとから一括で変更することが可能です。

管理画面と表側は別のアプリケーションになっていますので、表側アプリケーションを増やして別のテンプレートを適用すれば、データはそのままで別バージョンを出力することもできます。たとえば、スマートフォン用のコンテンツを出したりするのに使えます (ただしスマートフォン用のテンプレートはデフォルトでは存在しないので、作る必要があります)。

ただし、「入力データにマークアップを一切含まない」ことにはデメリットもあります。まず、文字参照がいっさい入力できません。™ (U+2122) や© (U+00A9) を入力するには、™や©と書いても駄目で、文字をそのまま入力する必要があります (入力画面はUTF-8なので、そのままペーストで問題なく入力できます)。また、文中でsup要素sub要素を使ったり、em要素で強調したりすることもできません。そういう意味でも自由度は低いです。

※それから、これは意外だったのですが、HTMLの知識があっても、HTMLのコードをコピペするより楽に作れると感じました。ISのサイト (http://www.industry-std.com/ (www.industry-std.com)) はISで作られているのですが、これは私がデータ入力を行っています。

肝心のお値段ですが、諸事情により、今のところどこにも書かれていません。個人で使うには高いけれども、企業が中堅どころのCMSとハードウェアを買って運用することを考えればかなり安い、という感じになるはずです。

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