水無月ばけらのえび日記

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300m

2001年10月16日(火曜日)

300m

文庫版『創竜伝』8巻 (www.amazon.co.jp)の巻末には山本弘との対談がついていて、一粒で二度おいしかったです。ほくほく。

「トンデモ」といわゆる「右翼的」な人とのつながりのくだりですが、要するに「死後の世界」を信じるような人でなければ、「死して虜囚の辱めを受けず」というような思想を支持できないという話でしょう。

現代科学を信仰している人々は、「人間が死んでしまえば、それ以上思考したり喜んだり苦しんだりすることは決して無い」と思っています。死後の世界など無いし、死んでしまってから自分の死を名誉に感じることなどありえない。生命なくして精神も魂も無い、死んでしまっては元も子もない。そう考えているから生命を尊重するし、特攻精神などは支持しないのです。

ではこのような立場の者は、たとえば「死者の名誉」を傷つけても平気でいるのかというと、もちろん平気でいます。ただし、死者の名誉を傷つけることで、残された遺族や関係者、支持者などが傷つくことに対して無頓着ではないのです。死者への配慮は、実は生き残った関係者への配慮なのです。

死後の世界が存在するという考え方に立つとどうでしょう。そこでは、死者の魂が意思をもったり思考したりします。死者は、死後の世界から人生を振り返り、あるいは地上の人々の暮らしを眺めることができます。そうなってくると、生命を尊重すべきという思想よりも、「醜く生きるよりも潔い死を」という考え方に共感できるでしょう。生命よりも精神や魂といったものを重視する思想も、抵抗無く受け入れることが出来るでしょう。

なので、やっぱり左翼だと唯物論になっちゃうからダメなんですかねというのはむしろ逆で、唯物論が先に立っている気がします。

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