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東海テレビ、不適切テロップ問題検証番組

2011年8月30日(火曜日)

東海テレビ、不適切テロップ問題検証番組

公開: 2011年9月4日2時20分頃

東海テレビの「ぴーかんテレビ」で不適切なテロップが出てしまった件、検証の番組と検証報告書が出ています。

番組はボリュームたっぷりの1時間。社長の謝罪から始まり、インタビュー、事故再現VTR、社内および関係者へのアンケート、そして総括、といった内容になっています。検証の中心とされたのは、以下の3つのポイントです。

詳しくは番組や報告書で述べられていますが、それぞれ簡単にまとめると、以下のようになります。

後二者は単純なミスと言って良いと思います。2系統あるテロップ送出機の操作は紛らわしくて、不慣れな新人がミスするのは仕方ないように思えます。また、23秒という時間も、再現VTRを見るとそれほど放置していたようにも見えず、それなりに素早く対応できているように感じます。調査では、新人一人に操作をさせていた、VTRで油断してしまっていた、といった問題点が指摘されていますが、それらは環境の改善で対応できるところでしょう。

しかし、不適切なテロップが作られたことについては、ミスで済ますことはできません。どうしてそんなものを作ってしまったのか、調査報告書ではこのように述べられています。

たとえ放送に使わない仮のテロップとして作成したとはいえ、原子力発電所の事故によって、放射能汚染の恐怖にさらされている人々への思いに至ることもない、しかも口に出すことさえ憚れる文言を平気で書いてしまった行為からは、テロップ制作者が著しく社会常識に欠けていることが伺える。

不適切テロップを作成した動機・理由は今回の検証のポイントだが、2回 の検証委員会のヒアリングで同様の質問を計5回しているが、証言内容はほぼ同じであった。 しかも「ふざけた気持ち」と「頭に浮かんだ言葉を書いただけ」というのは、意味が違うのではないか、「ふざけた気持ち」には、意図的なものを感じ取ることができるが、との問いには即答できず、質問の趣旨が理解出来ない様子が見て取れた。

以上、「ぴーかんテレビ」検証報告書 より

理由は本人も説明できず、検証委員会も理解できず、もてあましてしまっているようですね。本人を含め、誰もが「どうしてこうなった」と言っているような感じでしょうか。ただ、特定の意図はない、ということだけは結論づけられています。

検証委員会は、本人や上司、一緒に働くスタッフの証言などから、特定の個人や所属する制作会社、東海テレビに対する恨みはなく、また思想的な背景、精神疾患などもなく、さらには社会常識の欠如が散見されることなどから、不適切テロップの作成については、意図的なものは全くないと判断した。

また、テロップ制作者が仮にある特定の意図をもって、不適切なテロップを作成し放送しようと思っても、彼ひとりではシステム上、放送を実現することはできない。

テロップ制作者と新人TKとの共謀の可能性についても、ヒアリング結果などから、その疑いも全くないと判断した。

以上、「ぴーかんテレビ」検証報告書 より

私が最も印象に残ったのは、番組でのテロップ制作者へのヒアリングのシーンです。テロップ制作者が「ちょっとした思いつきだった。困らせてやろうという気持ちはなかった」という主旨の発言をします。それに対して検証委員の方が言ったのは、「プロフェッショナリズムが欠けているのではないでしょうか」という言葉。映像の21:50~あたりのシーンです。

「プロフェッショナリズムが欠けている」という批判は、調査の結果として出すべきものであって、ヒアリングの場で本人に直接ぶつけるような言葉ではないようにも思います。しかしそれでも、調査委員の方はそう言わざるを得なかったのでしょう。その気持ちは何となく分かるような気がします。

※「なぜ人はTwitterに顧客の悪口を書いてしまうのか」という話題でもこの件に触れましたが、「プロフェッショナリズムが欠けている」という批判は、公然と顧客の悪口を言ってしまうような従業員にも当てはまると思います。

次に印象に残ったのは、番組の終盤にあったアンケート調査の結果です。制作者本人への批判もありましたが、経営批判のほうが圧倒的に多いように見えました。報告書では「4.不適切放送の背景」の項にまとめられていますね。個人の問題ではなく、制作体制の劣化や現場の疲弊がミスに繋がったのだ、と見ている人が多いらしいことが伺えます。

報告書でもうひとつ興味深いと思ったのは、その中の「4)アラームは鳴っていた」という節。視聴者からのクレームの数を見ると、年々増えていることが分かります。これが体制の劣化や現場の疲弊を示すアラームだったのではないか、しかし経営陣はそれを無視した (アラームであることに気付くことができなかった) のではないか、という指摘ですね。重大事故の背後には、その29倍の軽微な事故と、300倍の「ヒヤリ・ハット」が存在していると言われます (ハインリヒの法則)。軽微な問題が増えてきたら、それは重大事故の前触れだと思って対応を考える必要があるということです。

やはり最大の問題は、経営者が現場の疲弊に気付くことができない、気付いても適切な対応をすることができない、というところなのでしょうか……?

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