原発停止のリスク
2011年5月10日(火曜日)
原発停止のリスク
公開: 2011年5月14日17時5分頃
「電力不足、全国的な問題に 浜岡原発停止で融通厳しく (www.asahi.com)」。
定期検査に入った原発は東日本大震災後、まだ全国で1基も運転を再開していない。福井県内に11基の原発を持つ関電は、3基が定期検査で停止中。さらに3基が定検に入る。幹部は「再稼働できないと関電も厳しい」と打ち明ける。
これはまずいですね。電力が不足するとまずいのは当然ですが、「原発が停止すると電力が不足する」という状態そのものに問題があると思います。ある程度の地震が来ると原発は停止するようになっていますし、一度停止すると、すぐには運転再開できません。
たとえば、2009年8月11日の静岡沖地震では、御前崎市で震度6弱の揺れがあり、浜岡原発は全機停止しています。その後の流れは以下のとおりです。
- 2009年8月11日 午前5時7分頃に地震が発生、浜岡原発4号機、5号機が自動停止 (3号機は点検中、1,2号機は廃炉に向けて停止していた)。冷温停止に向けた運転操作を開始。「地震発生後の浜岡原子力発電所の状況について(午前7時00分現在) (www.chuden.co.jp)」
- 2009年8月11日 午後6時10分、4号機が冷温停止。2009年8月12日午前2時17分、5号機が冷温停止。「地震発生後の浜岡原子力発電所の状況について(続報) (午後3時00分現在) (www.chuden.co.jp)」
- 2009年9月15日 4号機の点検と調整が完了。 「浜岡原子力発電所4号機の調整運転の再開について (www.chuden.co.jp)」
- 2009年9月17日 4号機の調整運転開始。 「浜岡原子力発電所4号機の発電再開について (www.chuden.co.jp)」
- 2009年10月16日 4号機の営業運転開始。 「浜岡原子力発電所4号機の営業運転再開について (www.chuden.co.jp)」
- 2009年12月15日 5号機の停止期間延長を発表。 「浜岡原子力発電所5号機の停止期間の延長および定期検査の実施について (www.chuden.co.jp)」
- 2010年3月12日 5号機はそのまま定期検査に突入。浜岡原子力発電所5号機の定期検査について (www.chuden.co.jp)
- 2011年1月25日 5号機は調整運転を開始。浜岡原子力発電所5号機の原子炉起動について (www.chuden.co.jp)
- 2011年2月23日 5号機は営業運転を開始。浜岡原子力発電所5号機の営業運転再開について (www.chuden.co.jp)
4号機は比較的早く復旧しましたが、それでも調整運転まで1ヶ月、営業運転まで2ヶ月かかっています。5号機のほうは1年以上止まっていたことになります (2006年に壊れたタービンの交換もしていたようで、地震の影響だけではないようですが)。
地震で原発が停止し、それがしばらく続くという状況は過去に何度も起きています。これは予想外でもなんでもありませんから、個々の電力会社では、管内の原発が全て止まっても問題ないようにしてあるはずです。しかし今回は、震災による「融通」の分が厳しいということなのでしょう。節電を頑張って行くしかないでしょうね。
- 「原発停止のリスク」にコメントを書く
- 前(古い): かけ算、割り算、係数の優先順位
- 次(新しい): 有限責任と巨大事故リスク