水無月ばけらのえび日記

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チョコレートゲーム

2011年4月19日(火曜日)

チョコレートゲーム

公開: 2011年4月24日13時45分頃

読み終わったので。

中身は悪くなかったと思うのですが、巻末の解説がなんとも。

ファミコンやパソコンなど機械と対話することにしか慰めを得られない孤独な中学生の生態は、この『チョコレートゲーム』によって初めて描き出されたといってよいのではないかと私は思う。

どこにそんなのものが描かれているのか、私には分かりませんでした。私が読んだ範囲では、本作には中学生がファミコンやパソコンに没頭するシーンは全く出てきません。部屋にパソコンが置かれているシーンはありますが、ただ置かれているだけで没頭していたような描写はありませんし、そのパソコンが購入された背景も明らかになります。

そもそも、本作のポイントである「チョコレートゲーム」は、友達との交流がなければ成立し得ないゲームです。主人公の息子である省吾は、友との交流の中で翻弄されていたのです。しかし主人公の近内には、それが分からなかった。ラスト付近で近内は逸子に頭を下げて感謝しますが、それは、省吾が孤独ではなかったと分かったからでしょう。自分がしなければならなかったはずのことを、逸子がしてくれていた。そこにあるのは孤独ではなく、単なる断絶に過ぎなかった。だから頭を下げたのでしょう。

読み方は人それぞれだと思いますが、この解説は無理がありすぎると思いました。

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