浜岡原発リプレースの背景
2011年4月14日(木曜日)
浜岡原発リプレースの背景
公開: 2011年4月17日13時5分頃
Twitterで、こんな記事を教えていただきました。
- 静岡新聞「浜岡原発の選択」 (www.at-s.com)
浜岡原発1,2号機を廃炉にして6号機を新設するというリプレース計画についての記事。2008年の12月から2009年の6月にかけて静岡新聞に連載されたもののバックナンバーのようです。
全体的に読み応えのある内容ですが、特に興味深いと思ったところをいくつか引用しておきます。
中電が高経年化対策に必要な保守・点検計画をまとめた報告書は、1号機が2006年5月、2号機が08年7月に“条件付き”で国の審査に合格した。ひび割れが見つかり、交換するとしていた原子炉心臓部の炉心隔壁(シュラウド)が未交換だったため、その部分の評価ができなかった。
(~中略~)
中電によると、1、2号機の運転再開に必要な費用は耐震工事費を含めて3000億円。工期は10年に膨らんでいた。一方、6号機の新設費用は3000億―4000億円を見込む。1、2号機の高経年化対策は、経済性の前に水泡に帰すことになった。
高経年化対策としてシュラウドの交換と耐震補強が求められたものの、コストが高く、リプレースの方が経済的と判断されたようです。一度動かした原発を後から補強するのは、予想以上に難しいようですね。強い放射能を持つ炉心で部品交換の作業をするのは大変なのだろうと思います。
市民が豊かな生活を手に入れる一方で、これらの“ハコ物”の維持・管理に必要な膨大な経費が、自治体を悩ませ始めている。
「教育や健康増進関連は必要投資だと思うが…」。御前崎市議の一人はそう前置きした上で、「多くの施設が市の財政を圧迫しているのは間違いない」と指摘する。
(~中略~)
「一度あてにすれば、その後も頼らなければならなくなる」。別の市議は交付金の特性をこう表現し、「簡単に6号機に飛びつけば同じことの繰り返し。まずは、(原発)依存体質から脱却したまちづくりを真剣に考える時ではないか」と強調する。市職員の一人は「昔は『金があるなら施設を』という要望が多かった。今は『こんなに造ってきたけど、本当に大丈夫なのか』と不安視する市民の声が目立つようになった」と感じている。
交付金の話ですね。原発誘致で得た交付金で施設を整備すると、その維持費がかかるようになって、交付金なしにはやっていけない体制になってしまうという話。福島の双葉町でも似たような話が出ていましたね (福島第一原発7,8号機の誘致)。
しかも、その交付金は……。
「納得しかねる」―。
職員たちが厳しい口調で迫った相手は、経済産業省資源エネルギー庁電源地域整備室の中村講治室長。同市役所を訪れた中村室長は、「正式決定ではない」と前置きした上で、1、2号機に関連する電源三法交付金を2009年度からカットする可能性を示唆した。
「既に交付金を盛り込んだ新年度予算が組み上がっていた。その場にいた職員は皆、耳を疑ったと思う」。居合わせた職員の一人は、そう振り返る。国の意向は市にとってそれほど唐突だった。
なんと、廃炉になるとその時点からカットされてしまうという。廃炉が決定して運転が止まっても、原子炉は残留放射能を持ったままでまだそこにあり、解体には10年単位の時間がかかります。しかし、止まった時点で交付金がカットされてしまうという。老朽化した原子炉をなかなか廃炉にできない理由の一つは、このあたりにもあるのかもしれません。
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