日本では別姓夫婦を戸籍に記載できる
2011年1月6日(木曜日)
日本では別姓夫婦を戸籍に記載できる
更新: 2011年1月10日17時0分頃
「「夫婦同姓の規定は憲法違反」 事実婚夫婦ら国を提訴へ (www.asahi.com)」。
また、事実婚の夫婦は、国などに婚姻届の不受理処分の取り消しも求める方向だ。婚姻届は一方の姓を選んで提出するが、夫婦は両方の姓を選んだため受理されなかった。
原告の一人の元高校教諭塚本協子さん(75)は「一人娘なので姓は変えたくなかった。政権交代で民法改正を期待していたが、解決できないので司法に訴える」と話す。
75歳! 別姓での婚姻を戸籍に記載してほしくて届け出たのに拒否され、仕方なくずっと事実婚でやってきたということのようで。
別姓夫婦は既に結構いるわけですが、現状では、別姓夫婦であるという事実は戸籍に記載されない場合がほとんどです。特に、事実婚で通している場合には婚姻の事実さえ記載されないわけで、これは社会的にも影響が出てきます。たとえば、相続の際は戸籍を頼りにして相続人を調査しますが、戸籍に正確な記載がないと手続きが大変になったり、正しい相続が行われないおそれがあります。
言うまでもないと思いますが、生活実態を書類に合わせろというのはナンセンスです。書類のほうを生活実態に合わせて、事実を正しく記載するべきでしょう。
では、なぜ別姓夫婦を戸籍に記載できないのかというと……これは私には分かりません。記載できない積極的な理由は存在しないように思います。というのも、現在既に別姓の配偶者が戸籍に記載されているケースがあるからです。これは具体的には国際結婚の場合で、法務省のサイトに解説があります。
1 日本人が外国人と婚姻をした場合には,外国人についての戸籍は作られませんが,配偶者である日本人の戸籍に,その外国人(氏名・生年月日・国籍)と婚姻した事実が記載されます。この場合,その日本人が戸籍の筆頭に記載された者でないときは,その者につき新戸籍が編製されます。
2 外国人と婚姻しても日本人の氏は当然には変わりません。しかし,外国人の氏を名のりたい場合には,婚姻の日から6か月以内であれば,戸籍届出窓口に氏の変更の届出をするだけで,外国人配偶者の氏に変更することができます。このような氏の変更の届出がされると,氏名は「ジョーダンあゆ美」となります。
なお,婚姻の日から6か月が過ぎている場合には,家庭裁判所の許可を得た上で,戸籍届出窓口に氏の変更の届出をすれば,氏を変更することができます。
日本人同士の場合とは記載のされ方は異なりますが、きちんと別姓婚とわかる状態で記載されますし、後半にあるように、届出で同姓にすることもできます。「選択的夫婦別姓」の婚姻制度が、既に運用されているわけです。
つまり、日本の戸籍制度では、別姓夫婦を戸籍に記載することができるのです。にもかかわらず、夫婦の両方が日本人である場合だけ記載が許されていません。
日本人の場合だけ禁止する理由は、私には良く分かりません。
※余談ですが、現在では初婚の場合は上記のように新戸籍が作られます。今も婚姻を「入籍」と呼ぶことがありますが、それは戦前の旧民法の名残です。なお、「入籍」という手続き自体は現在もあって、それは離婚時の子の姓の変更に利用されています。
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