トンデモ著作権本?
2002年5月10日(金曜日)
トンデモ著作権本?
公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない
以上、著作権法第32条 より
よく引用には「必然性」が必要だと言われますが、これは「必然性」であって「必要性」ではありません。元の条文をちゃんと読めば、これが「合理的な引用」を意味するものであって、「必要にして不可欠な引用」を意味するものでないことは明白です。
何の脈絡もなく突然関係ないものを引きあいに出すのは、「目的上正当な引用」とは言えません。しかし、自分の論旨をわかりやすくするとか、読者の便宜を図るためだとか、その程度の理由があれば十分に正当となるのです。引用が必要不可欠であってその引用がなければ著作物が成り立たない、などという状態である必要は全くありません。
だいたい、「必要不可欠性」などという要件を満たすことなど不可能です。引用せずとも、要約を書いたり、「詳しくは……を参照せよ」などと書けば意味は通じるからです。
次の各号に掲げる場合には、当該各号に規定する著作物の出所を、その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない。
一 第三十二条、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十七条第一項若しくは第三項、第四十二条又は第四十七条の規定により著作物を複製する場合
以上、著作権法第48条 より
条文を読めば誰でもわかると思いますが、「引用部のすぐそばに出所を明示しなければならない」などとはどこにも書かれていません。逆に出所の明示は「その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度」であれば良い事がわかります。巻末の文献一覧などは十分に合理的と認められる方法です。
…… HTML について語るならば HTML の仕様を読んでるのは当然です。同様に、著作権について語るのであれば著作権法を読んでいて当然なのですが、いずれも必ずしも守られていないのが現状のようです。
なんでこのような曖昧な表現になっているのかって? それはそうでしょう。著作権法に関してあんな物凄いことを主張している人の文章を引用するなんて、そんな恐ろしいことできるわけがないではありませんか。
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