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2017年10月24日(火曜日)

「インクルーシブHTML+CSS&JavaScript」11月4日発売予定

公開: 2017年10月24日22時0分頃

こんな本が出ることになりました。11月4日発売予定です。

原著者のヘイドンさんは、「コーディングWebアクセシビリティ (www.amazon.co.jp)」の原著者でもあります。その続編として、「Inclusive Design Patterns - Coding Accessibility Into Web Design (www.amazon.co.jp)という本が出ており、その翻訳がこの本ということになります。

前著はWAI-ARIAの入門的な位置づけで、分量も少なく、軽く読みやすい構成になっていました。コード例もありましたが入門的な例でしたので、現場で使うには少し物足りない印象もあったのではないでしょうか。

それに対し、この本では、現場で実際に使えるようなパターンを紹介しています。ブログ記事、ナビゲーションボタン、商品リスト、フィルターウィジェット、登録フォームなどは、マークアップの現場でも実際に扱う機会が多いものでしょう。まずHTMLを書いてから、そこにCSSとJavaScriptを適用していくというのが本書の基本的な方法論ですが、なぜその要素を選択し、どのようなJavaScript実装を適用するのか、といったことが順を追って書かれていて、実際に手を動かしながら追うことができるような構成です。ハンズオンの講習に使うこともできるでしょう。

私は監訳としてクレジットされていますが、全体の訳文の調整、訳注の執筆などもしています。ちまたでは訳注が多い本だと噂されているようですが、手元のデータの文字数をおおざっぱにカウントしてみたところ、訳注が占める割合は12%弱のようです。他の本がどうなのかはよく分かりませんが、1割以上が訳注なので、それなりに多いようには思います。

訳注が増えた原因のひとつは、時の流れです。原著の発売は2016年10月なので、執筆はその少し前になると思いますが、HTMLの仕様が変わったり、当時は実装されていなかった機能が実装されたり、スクリーンリーダーの対応が進んでいたりと、さまざまな変化がありました。本当に変化が早いものです。

なお、この本で語られている実装方法は、あくまで方法のひとつでしかないことに注意してください。他にもさまざまな方法がありますし、他の方法がダメだというわけではありません。さまざまな方法にはそれぞれ一長一短があり、原著者の主張する実装方法にも長所だけでなく短所があります。この本の実装方法をベースに、短所について議論していただいたり、より良い案を出していただくのも良いでしょう。「この方が良いのでは?」といった感想を持たれた方は、ぜひ共有いただき、議論を深めていただきたいと思います。

※なお余談ですが、監訳者の間では、原著者の主張に賛同できない部分に対してもっと訳注をつけてはどうかという議論がありました。しかし、原著者に反論できないような形でdisってしまうのもどうかと思ったのと、本の外の世界 (ブログやSNSなど) で議論が深まる方が建設的なのではないかという観点から、そのような訳注は控えめにしています (とはいえ短所の説明が不足していると思われたところには訳注を入れています)。

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