2011年8月17日(水曜日)
療養費の通知書を作るシステムの仕様がすごい
公開: 2011年8月21日15時55分頃
こんなニュースが……「療養費支給額「3兆円」 都広域連合がケタ違いのミス (www.asahi.com)」。
東京都後期高齢者医療広域連合からはおわびの文書が出ていますね。
- 後期高齢者医療高額療養費支給決定通知書誤記載についてのお詫び (www.tokyo-ikiiki.net)
- 後期高齢者医療高額療養費支給決定通知書の誤記載について (PDF) (www.tokyo-ikiiki.net)
本来は「平成23年8月16日」「¥1,351」となるはずのものが、「平成23年80月16日」「¥3,510,000,000,000」となってしまったそうで。
その理由がちょっと驚きです。
同広域連合によると、通知書を作る際、職員がパソコン操作を誤った。支給額欄には13桁の数字を入れることになっているが、1351円を支給する場合も千の位の「1」の前にゼロを9個入力しなければならないのに入力し忘れ、データ処理の過程で千の位の「1」が消えてゼロが後ろに10個加えられたという。支給の日付も「8月」の場合「08」と入力すべきなのにゼロを入力し忘れたため「80月」と記載された例が多いという。
つまりこういうことですね。
- 「1351円」という金額を指定する場合には「0000000001351」と入力する必要がある
- 金額データを「1351」と入力すると、「3,510,000,000,000円」(3兆5100億円) になる
- 「8月」という月を指定する場合には「08」と入力する必要がある
- 月のデータを「8」と入力すると、「80月」になる
そして、今後の対策は以下のように発表されています。
3 今後の対策
東京都後期高齢者医療広域連合において、業務に用いるマニュアルを再整備するとともに、二重チェックを徹底し、確実な点検作業を実施する体制を構築する。
運用は見直しますがシステムを見直す気配はないようで、つまりこのシステムの挙動は仕様ということなのでしょう。
作業者がゼロ埋めをしなければならない時点でどうかと思いますが、百歩譲って許容するとしても、入力桁数が不足している時にエラーにせず、よりによって入力値の左ではなく右にゼロを補完するという挙動はひどすぎます。そして平然と「80月」を出力する挙動……。
※1351の先頭の「1」が消えているのも謎ですが、おそらくデータの先頭の文字を符号とみなして、「-」以外だったら正の数として扱う仕様なのでしょう。
これが仕様というのは、すごいの一言です。どうしてこうなってしまったのでしょうか。
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