2002年7月22日(月曜日)
Webデザイン
デザインをないがしろにしているくせに、他人のサイトのデザインにケチを付けるなんて、出過ぎたマネをしないで欲しい。
違う。他人のデザインにケチを付けているのでは無い。
デザインの実現方法にケチを付けているのだ。
以上、びいさんの日記。 より
「デザイン」という言葉の意味するところはかなり曖昧だと思います。特にそれが紙媒体における「デザイン」ではなく Webにおけるデザイン、いわゆる「Webデザイン」を指しているのであれば、なおさらです。
実は私も少し前までは「Webデザイン」という概念を紙媒体上でのデザインと同じようなものとしてとらえていました。だから、「デザイナーはアクセシビリティというものが分かっていない」とか「デザインとアクセシビリティとは水と油だ」などということを平気で思っていて、大昔の FMHPG ではそう言ったりもしていたのです。
しかし、本当に Web デザイン生業としているプロのデザイナーに出会って、その人の話を聞いた瞬間、そんな考えは一瞬にして消え去りました。何のことはない、プロのデザイナーは「アクセシビリティ」だとか「ユーザビリティ」だとか言う概念をちゃんと知っていて、そういった要素も含めてデザインをしているのです。そこでは「Web デザイン」は、「アクセシビリティ」や「ユーザビリティ」と相容れない概念でも、全く別の概念でもなく、むしろそれらを含む概念として捉えられていると感じました。
かつての私は、多重の table でレイアウトされ文字サイズが固定された「特定環境で見ると美しい」ようなサイトについて、「デザインは良いがアクセス性に欠ける」と評価していました。しかし、今の私は同じ物を「ビジュアルは良いがアクセス性に欠けるデザイン」と評価します。「アクセス性を高く」設計することもまたデザインなのです。「CSS を使うことによってアクセス性を向上させる」という選択も、「table でレイアウトすることによって Netscape4 などでも擬似的にレイアウトを再現する」という選択も、それ自体が既に Web デザインの一環なのです。
鳩丸では後者のデザインは絶対にしてはならないとまでは言っていませんが、ダサイ、ショボイ、カッコ悪いデザインだと評価をしていることは間違いありません。そう考えると、私はまさに他人のデザインそのものにケチをつけているのであって、それをデザインをないがしろにしているくせに、他人のサイトのデザインにケチを付けるなんて、出過ぎたマネと言われても、それはそれでそんなに間違っていないと思うのです。
大昔に「Webアーティスト」云々という話がありましたが、そこで私が言いたかったのは、要するにこういうことなのです。外面に現れない属性であるとかソースであるとか、そう言った部分まで全て含めた意味での「デザイン」、これを極めてこその「アート」なのではないかと。当時はデザイナーという職種の人と触れあう機会もあまり無く、そのため「デザイナーという職種の人はみんな外見的な見栄えだけを重視している」などという妙な偏見がありました。今同じ趣旨のものを書けば、もっと良いものを書けるような気がします。
でも暇がない……。
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