「静岡県のホームページ」と称するものを見てみました。マークアップの文法的にはさほど悪くはないのですが、かなり感じるところがありましたのでしっかりと書いておきます。
まず目に付くのは、何の脈絡もなく存在する空っぽの文字入力欄です。入力しても何も起きません。なにこれ?
……おそらく、JavaScript がオンならここに何か表示されるのでしょう。それもおそらくは、右から左へと文字が流れるようになっているのです。ソースを見てみると、
var m1 = " 静岡県ホームページにようこそ。" var m2 = " ★平成11年12月31日、「伊豆新世紀創造祭」開幕!" var m3 = " ★静岡県の日本一が勢揃い!「Myしずおか日本一」では、プレゼントクイズを実施中です。" var m4 = " "
このようなメッセージが流れる模様です。JavaScript がオンなら。しかし、これだけのものを表示するのに何故わざわざ JavaScript で動かさなければならないのかさっぱり分かりません。普通に、
静岡県ホームページにようこそ。
★平成11年12月31日、「伊豆新世紀創造祭」開幕!
★静岡県の日本一が勢揃い!「Myしずおか日本一」では、プレゼントクイズを実施中です。
こうやって書いておけば、パッと見てさっと読めます。あるいはゆっくりと一文字ずつ読めます。
個人が趣味で公開しているリソースならば、特定のブラウザでなければ入手できない情報があったとしてもまあ許せます。目の悪い人には追えないようなスピードで字が流れていったとしても良いでしょう。しかしこれは静岡県のサイトで、県の防災対策などの情報を含む、公共性の高いものです。そういうリソースで、人によっては見られない情報があるというのはどういうことでしょうか。何故わざわざ JavaScript で動かさなければならないのかさっぱり分かりません。
感心したのは、TABLE に summary がついていることです。TABLE の summary 属性は、主に非視覚の環境で表の内容を分かりやすくするためのもので、表の概要説明を書いておきます。非視覚の環境ではこれが読み上げられて、表の理解を助けるというわけです。
さて、静岡県はどういう summary をつけているのでしょうか。トップページのソースに含まれる summary を抜粋してみます。
SUMMARY="HTMLレイアウト" SUMMARY="ランダム富士の枠" SUMMARY="インデックス表" SUMMARY="レイアウト2表" SUMMARY="新着情報表" SUMMARY="検索表" SUMMARY="イベント表" SUMMARY="クレジット表"
……これを読んで、何の表なのか想像できるでしょうか。特に、"HTMLレイアウト" って何? こんな summary はユーザーの理解を助けるどころか、むしろ混乱させるでしょう。summary="" としておいた方がまだマシです。
まさか、summary の意味も理解しないで、単にAnother HTML-lint で summary をつけろと言われたからという理由で summary をつけているわけでもないでしょうし。
さて、トップページのなかに、P要素がいくつあるか?
<P ALIGN=CENTER> <A HREF="sitemap/map.html"><IMG SRC="img/btn_sitemap.gif" ALT="サイトマップボタン" WIDTH="115" HEIGHT="21" BORDER=0></A> </P>
これだけです。リストのような物はあるのに UL も OL も出てきません。いやはや、論理構造も何もあったものでは無いというか……。
この手の公共リソースでは、せめて WAI の言ってることくらいは読んだ上で、ガイドラインの
Conformance Level "Double-A": all Priority 1 and 2 checkpoints are satisfied;
くらいは達成して欲しいものです。Another HTML-lint で満点ならそれで良いという訳にはいかないのです。