水無月ばけらのえび日記

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詭弁

2003年1月15日(水曜日)

詭弁

目次ページ (www5b.biglobe.ne.jp)。久々にものすごい詭弁に出会って感動しました。実験のデータも計算式も出さずに口先だけでねじ伏せていくという姿勢で、ここまで論理を構築しているところがすばらしいです。勉強になります。

一番感心したのはこれ。

昔から”速度”というのは、

  速度=[距離]/[時間]

で表されてきました。 

それを、アインシュタインは、”時間”を速度cを用いて定義したのです。(ここで「はっ」と気づいた人もいるでしょう)

おかしいと思いませんか?

 時間を光速度cを用いて定義するには、その前に時間というものが分かっていなければならない。

なぜならcとは①の距離/時間で求められるものだからです。

アインシュタイン出現以前の素朴な時間を用いて測定されつづけてきた光速度cを用いてまた時間を定義するという決定的論

理ミスをやっているのです!

 この馬鹿馬鹿しさ、愚かしさをしっかりと目を見開いてみてください(そして真っ当な時間が、奇妙な時間に変わった!)

以上、cを中心に据えてしまった相対性理論 より

希に見るすばらしい詭弁だと思います。私も一瞬「あれ?」と思ってしまいました。

これは、「速度は時間と距離から求める物である」という思いこみを利用しています。私たちが日常で速度というものを扱うときは、速度を直接測定するのではなく、距離と時間から平均速度を求めることが多いでしょう。※ここで求められるのが、あくまで「平均」速度であることにも注意しておくと良いと思います。たいていの物は静止状態からいきなりトップスピードになったりはしませんし、時に減速したりしながら移動しますので、速度は常に変化しています。そのため、常に速度よりも先に距離と時間があって、速度というのはその 2つから計算によって算出された概念上のものだ……などと思ってしまいがちです。

しかし実際には、速度 = 距離 / 時間 であると同時に 時間 = 距離 / 速度 であり、距離 = 時間 × 速度 でもあるわけです。この三者はすべて同等で、速度だけが特別な値というわけではありません。たとえば、スピードガンでまず速度を算出して、時間と掛け合わせて距離を求める事もできます。※ちなみに、スピードガンはドップラー効果を利用して速度を計測する機械です。距離や時間を測定して速度を算出しているわけではありません。

そして、おもむろに理科年表をひらき、「1メートル」という長さがどのように定義されているのか見てみましょう。ついでに、「1光年」という長さがどのように定義されているのかも見ておきましょう。それで曇りが晴れると思います。

良い頭の体操になりました。

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