水無月ばけらのえび日記

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びいさんスペシャル

2001年11月6日(火曜日)

びいさんスペシャル

法律関係はこっちに書きます。

こうして考えると、権利のほうにもある同一性保持というのが義務になるのではないか。同じ小説だと思って買ったら内容が全然違ってた、というのでは困る。頒布するからにはその内容を保証する、つまり同一性を保証する義務があるのではないだろうか。

以上、びいさんの日記。 より

頒布者には、著作者人格権を保護する義務があります。しかし、著作者人格権を有する著者本人は自由に改変して構いません。実際、文庫本になる際に大幅な加筆修正が入るなんてのは良くあるパターンですが、著者がやっているのであれば特に問題にはなりません。

ボクシング選手が、殴られたからといって「殴ったね!? 親父にも殴られたこともないのにっ」と怒りだすことはない。殴ったりするのは暴行罪とか傷害罪に当たりそうなものだがボクシング選手は訴えない。なぜか。殴られることを容認しているからだ。それがボクシングをプレイする時の義務だ。事前に殴られることが充分予見されているし、そのことに付いても警告はなされているハズだ。それでも殴られることを承知してボクサーは殴られる。

以上、びいさんの日記。 より

試合でボクサーを殴っても傷害罪に問われないのは事実ですが、この論理構成はちょっといただけません。

まず、ボクシング選手は訴えないとありますが、傷害罪は親告罪ではありません。過失傷害でさえ親告罪ではありませんから、クルマにはねられた人が「いいよいいよ」と言っても、それは犯罪として裁かれることになります (検察側が不起訴にしたりすることはありますが)。従って、ボクサーが訴える訴えないはここでは関係ありません。この事例に関して言えば、たとえ相手ボクサーが告訴しても、傷害罪にはなりません。

また、びいさんの伝で行くと、「殺してくれ」と言った人を殺した場合、その人は殺されることを容認していますから免責となってしまいます。しかし、実際には「殺してくれ」と言った人を殺すと嘱託殺人になります。刑法202条を見てください。

第202条(自殺関与及び同意殺人)

人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、六月以上七年以下の懲役又は禁錮に処する。

以上、刑法第202条 より

付け加えれば、ボクサーがたとえ「殴らないでくれ」と言ったとしても、殴ったボクサーに殺意があったとしても、これは傷害罪にはならないのです。もっとも、それが反則行為であったりしたような場合には別ですが……。

通説の立場は、ボクサーが相手を殴る行為は正当業務行為であるから免責される、とします。

第35条(正当行為)

法令又は正当な業務による行為は、罰しない。

以上、刑法第35条 より

刑務官が死刑執行のボタンを押しても殺人罪にはなりませんし、警察官が犯人を逮捕するべく格闘しても暴行罪にはなりませんが、これらも同様です。※どこかの刑事ドラマのように、無抵抗の犯人を殴ったりするのは駄目です。

むしろこれが問題になるのは手術を行う医師の場合です。正当な業務行為であれば傷害にはならないのですが、生きている人から無断で (医師のとっさの判断などで) 臓器を摘出してしまったりすると、それが本当に正当な業務行為なのか判断が難しかったりするわけです。

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