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官邸から見た原発事故の真実

2012年2月15日(水曜日)

官邸から見た原発事故の真実

公開: 2012年2月25日15時0分頃

読み終わったので。

しかし帯がちょっとひどいのではないでしょうか。こんな感じなのですが……。

緊急出版! 首都圏三千万人の避難は、なぜ避けられたのか?

しかし、中身はそういう話ではないですね。確かに、p23~p25には、「最悪の場合には、首都圏三千万人が避難を余儀なくされる可能性があった」という話があります。

もし、このまま、一号機から四号機に存在する核燃料がメルトダウンを起こしていった場合には、大量の放射能が大気中に放出され、もし、それが東京方面に風で運ばれていくと、最悪の場合、首都圏までかなり高い放射能汚染の地域が生じるというものでした。

もとより、これは、あくまでも「四つの原発の冷却機能が回復せず、核燃料の全面的なメルトダウンが進んだ場合」という「最悪の想定」の元でのシミュレーション結果でしたが、

(~中略~)

幸い、この後、四つの原子炉では水素爆発も起こらず、そして、東京電力の現場の方々の献身的な努力によって冷却機能が回復したため、いま、こうして冷静に話をできるわけですが、あの三月末から四月初めにかけての時期は、文字通り、「首都圏三千万人の避難」という最悪のシナリオもあり得る、まさに予断を許さない時期だったのです。

以上、p24~p25 より

というわけで、「なぜ避けられたのか」という問いに対しては、以下のような答えになります。

そして、この話は数ページで終わっています。本書の主眼はここにはないのです。

サブタイトルに「これから始まる真の危機」とありますが、この点が主眼となっているところです。原発事故は終わりではなく、さまざまな問題がこれから表面化してくる、という指摘です。

本書では、これを「パンドラの箱」という言葉で表現しています。第二部では、これらの問題を「政府が答えるべき国民の七つの疑問」として七つに分け、それぞれについて、どのような問題なのかを論じています。

これを受けて第三部では、政府の掲げる「脱原発依存」のビジョンを実現するための現実的なアプローチについて。あくまで現実路線で、段階的にその方向に向かっていく必要があるという考えです。さらに、こんな話も。

「脱原発依存」に向かうとしても、原子力の「安全性」を高める挑戦は、絶対に必要です。なぜなら、明日、すぐにすべての原発を停止することはできないし、仮に、それができたとしても、使用済み燃料の問題、廃炉の問題、放射性廃棄物の問題が、数十年から数百年の間、取り組むべき課題として残るからです。

以上、p234~p235 より

帯の宣伝文句は本当にひどいと思いますが、全体的な内容はとても良いと思います。

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