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さよなら! 僕らのソニー

2012年2月10日(金曜日)

さよなら! 僕らのソニー

公開: 2012年2月24日21時0分頃

読み終わったのでメモ。

過激なタイトルに見えますが、「さよならソニー」ではなく「さよなら『僕らの』ソニー」というのがポイント。かつてのソニーは技術者の会社で、今までになかった製品を世界に先駆けて作り出していくところに強みがあり、それが「僕らの」ソニー。そして、今のソニーはもはやハードウェアには注力しておらず、コンテンツとネットワークでビジネスをしようとしていて、当初とは全く違う方向を向いているというお話です。

と言っても、「ソニーは失敗した」というニュアンスではなくて、ストリンガー氏が意図的にこの方向に持ってきているという話をしています。必ずしも今のソニーを否定するというスタンスではありません、が……。

私はストリンガー氏に直接、「ネットワークに繋ぐ理由は分かりましたが、ではどこで利益を稼ぎ出すつもりなのですか。それを教えてください」と尋ねた。

ストリンガー氏は少し考えてから、こう答えた。

「それを今、平井(一夫氏)に考えさせているところだ」

「……」

私は、絶句した。

以上、p245 より

まあ、肯定的でもないですね。

ちなみに、PSNの情報流出事件についても言及されています。

だいたい、PSNとキュリオシティという二つの配信サービスは、ストリンガー氏が「コンテンツ(ソフト)とハードを融合」したビジネスモデルとしてソニーグループをあげて取り組んだはずの事業である。いわば、ソニーグループのビジネスである。なのに、ソニー米国から見れば子会社、ソニー本社から孫会社にあたる管理会社に世界のユーザー七千七百万件もの個人情報を一元管理させていたなどとは信じられなかった。ネットワークビジネスで一番大切なセキュリティを疎かにしていた事実は、配信サービス以前の問題だと言わざるを得ない。

しかしもっと驚いたことには、この管理運営会社はセキュリティの責任者を置いていなかったし、ソニー本社の情報システムの責任者と綿密な関係を持とうとしてこなかったのである。

以上、p267 より

今注力しているはずの肝心な分野でも、何かがちぐはぐになっているのではないかという指摘。

本書が書かれた後に公表された話ですが、ソニーは4月にトップ交代 (ストリンガー氏→平井一夫氏) を予定しています。それでどう変わっていくのか気になりますね。

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