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都道府県型JPドメインの衝撃

2011年9月27日(火曜日)

都道府県型JPドメインの衝撃

公開: 2011年10月3日1時50分頃

JPRSが「都道府県型JPドメイン」なるものの導入を発表したことが話題に……「JPRSが、地域に根ざした新たなドメイン名空間「都道府県型JPドメイン名」の新設を決定 (jprs.co.jp)」。

既に「地域型JPドメイン名」というものがあります。よく知られているのは地方公共団体が使用しているドメインでしょう。たとえば東京都は metro.tokyo.jp というドメインを使っていますし、港区はcity.minato.tokyo.jpを使っています (Webはどちらもwwwをつける必要があります。http://www.metro.tokyo.jp/ (www.metro.tokyo.jp)http://www.city.minato.tokyo.jp (www.city.minato.tokyo.jp))。

しかし、実はこれだけではありません。あまり知られていないと思いますが、「一般地域型JPドメイン」と呼ばれるものがあり、一般の個人でも取得することができます。JPRSのサイトでは、地域型JPドメイン名について以下のように説明しています。

地域型JPドメイン名

CHIYODA.TOKYO.JP のように、市区町村名と都道府県名で構成されたドメイン名です。個人でも登録できます。1つの組織・個人が登録できるドメイン名は1つだけです。

以上、JPドメイン名の種類 より

地方公共団体以外が使っているのを見たことがない、という人も多いでしょう。たとえばGoogleで「site:tokyo.jp -inurl:metro -inurl:city -inurl:town -inurl:vill -inurl:library -inurl:lib (www.google.co.jp)」を検索すると、実際に使われている例が見つかります。政治家や病院が持っている例が多いようですが、完全に個人が持っていると思われるものも散見されます。

しかし、一般地域型JPドメインは実際のところマイナーです。名前が地域と結びついていることが、特徴であると同時に問題でもあります。個人は引っ越す可能性がありますし、企業は複数地域にまたがって展開する可能性があるわけで、地域と結びついた名前は使いにくいです。地域に密着した用途となると、それこそ政治家や病院といったところになってくるのでしょう。

そして何より、今では汎用JPドメインというものがあります。.jpのすぐ前に任意のラベルをつけることができるドメイン名で、これも個人で取得できます。bakera.jpは、まさにその汎用JPドメインです。こちらの方が自由度が高く、1人につき1ドメインという制限もありません。

今や、一般地域型JPドメインを使うメリットはほとんどないと言って良いと思います。新規に取得する人もほとんどいなくなっていることでしょう。そうなると、もったいないのでなんとか生かしたい、という気持ちが出てくるのは分かります。それで今回の「都道府県型JPドメイン」の話が出てきたのでしょう。

一般地域型JPドメインではexample.chiyoda.tokyo.jpのように市区町村名がつけられていましたが、都道府県型JPドメインでは、example.tokyo.jpのように、tokyoの上にいきなり任意のラベルが使えるようになります。一般地域型JPドメインより短くなるので、使いやすくなる、ということらしいです。

なんというか、そういう問題ではないと思うのですが……。汎用JPドメインよりも優れている点が思いつかないのですが……。

そして、Webセキュリティ方面に明るい人は、ただちにCookie Monsterという単語を思い出すわけです。

Cookie Monsterだけではなく、他にもいろいろと問題があったり混乱を招いたりしそうな予感もありますが、どうなることやら。

関連する話題: Web / セキュリティ / DNS

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