美味しんぼ 104
2010年2月28日(日曜日)
美味しんぼ 104
公開: 2010年3月7日13時15分頃
出ていたので。
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海原雄山は、激怒すると大声を上げたり杖で殴ったり小鉢を投げつけたりする人だったはずなのですが、ずいぶん大人しくなったものですね。
環境問題特集ということですが、議論されているのはだいたいこんな感じ。
至高のメニュー: ダムの問題
- ダムを造ると上流に砂が貯まる。上流では川底が上がって洪水が起きやすくなる、岩がシルトに覆われて苔が生えなくなる。海に砂が流れて行かないので砂浜が痩せ、消波ブロックを設置せざるを得なくなる。
- ダムによって、川を遡上するような魚が大ダメージ。魚道を利用できる魚はごくわずか。
- 洪水対策としては、ダムより堤防のほうが良いのではないか。
ダムより堤防を……という提案なのですが、ダムをやめて堤防にした場合のデメリットについては何の議論もなく、海原雄山の主張が妥当なのかどうか良く分かりません。
至高のメニュー: 築地市場移転問題
- 土壌と地下水が汚染されている?
……正直なところ、築地については環境問題としての論点が良く分かりませんでした。そもそも、市場では地下水を使用しない想定ですし、土壌汚染・地下水汚染が食品にどう影響してくるかについては論じられていません。「都が情報を隠していたりして信用できない」「そもそも取引量が減っているので移転自体不要であり、お金の無駄」という議論も出ていますが、それは環境問題とは別の論点であるように思います。
結局、「汚染された場所に建てるのは心理的な抵抗感がある」という話のようにしか思えませんでした。海原雄山は怒りもあらわに「あれほど甚だしく汚染された土壌の上に……建設するべきではない、という意見は学者の良心から出てこなかったのか」と言っていますが、むしろ学者に同情したくなります。
究極のメニュー: 河口堰の問題
- シジミがほぼ全滅。
- 大型のアユやサツキマスが川を下れなくなって大ダメージ。
- ゲート上げ下げの運用が適切に行われていないのではないか。
せめてゲートの上げ下げをもう少しきちんと、という提案ですね。
究極のメニュー: 核燃料再処理場の問題
- 通常運用時の排気・廃液などによる放射線量は0.022Sv程度であり、日本での自然環境の放射線量1.48Svと比較すると、ほとんど影響がないと言える。事故さえなければ問題はなく、むしろ心配なのは風評被害。
- それよりも、高レベル放射性廃棄物の処分をどうするかが問題。地質が悪く地下水の多い日本で最終処分場が作れるのか。
通常運用時の放射線は問題ないと明言。むしろ問題なのは高レベル放射性廃棄物をどうするかで、これは再処理云々ではなく原発自体の問題ということですね。
……こうして見ると、海原雄山は糾弾の論調は強いものの背景の議論がボロボロで、なんか明らかにダメなような気がするのですが、気のせいでしょうか……。
※あと、汚染の話をした直後に食べ物が出てきても、心理的にあんまりおいしそうに感じないという問題がありますね……。
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