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2011年11月18日(金曜日)

事実の説明と結果の理解

公開: 2011年11月24日15時30分頃

PSNのトロフィー問題で、こんな記事が……「「ソニー、PSNプレイ情報の公開問題について謝罪。規約変更で対処 (japanese.engadget.com)」。

ポイントは末尾部分でしょうか。

そもそもの問題は 「いつどんなゲームをどの程度遊んだ」や「どのジャンルの番組を好んで視聴している」といった情報の公開について、「嫌なら使うな」以前に嫌かどうか自覚して選択する機会が与えられず、ウェブ公開に至っては規約を読み込んでも書いていなかったこと。規約に書かれた範囲を超えて公開していたのは論外として、利用者が明確な説明を受けた上で選択する仕組みがほしいところです。

「利用者が明確な説明を受けた上で選択する仕組みがほしい」というのはその通りだと思います。「嫌なら買わなければ良い」というようなコメントをされる方もいるようですが、実際、知っていたら買わなかったという人もいるでしょう。そういう人が正しく「買わない」という選択をできるようにしなければなりません。重要なのは「明確な説明」というところで、利用者がきちんと理解できるようにする必要があるということです。

しかし思うに、利用者に伝わるように説明するというのは、それほど簡単なことではないかもしれません。というのも、単に事実を事実として伝えるだけでは、何が起きるのかを正確に理解できない場合があるからです。

たとえば、今回改訂されたPSNの規約では、トロフィーについて以下のように言っています。

SCEは、PSNのサービスの提供およびPSNのサービスにおけるユーザー体験を向上させる等の目的のために、オンラインID、自己紹介等のアカウントに関連する情報、トロフィー情報およびお客様のゲームプレイに関係した情報(レベル、ランキングなど)を含む一定の情報を公開することがあります。

以上、利用規約 より

「トロフィー情報および……関係した情報(レベル、ランキングなど)を含む一定の情報を公開」という表現です。この表現は嘘ではないのでしょうが、しかし、これを読んで「トルネのトロフィー情報から分かること」に書いたようなことがイメージできるでしょうか。「トロフィー情報が公開される」と言われただけで、「ある時刻にPS3でゲームをプレイしていたことが分かってしまう場合がある」というところまで理解できる人は多くないと思います。実際、私も自分のトロフィー情報を分析してみて初めて気付いたようなところが大きいです。

余談ですが、「事実を説明されても、それがどんな結果をもたらすかまでは理解されない場合がある」という現象は、この話に限ったことではありません。セキュリティ問題の説明の際にもそういう話が良くあって、昔はXSSでさえも「だから何なの?」というような反応が多かったわけです。事実を事実として説明すれば伝わるはず、という期待はけっこう当たらない場合があるので、気をつける必要があるでしょう。

規約改定は規約改定で必要だととして、それとは別にきっちりと説明することが必要になるのではないかと思います。

関連する話題: セキュリティ / プライバシー / PS3 / PlayStation Network

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